2021-07-14

【財務省】プライマリーバランス黒字化目標堅持も財政規律回復の道筋見えず

政府が6月18日に閣議決定した新たな経済財政運営の指針「骨太方針」は2025年度、国と地方の基礎的財政収支(PB)の黒字化目標は「堅持」を明記したものの、「経済あっての財政」との方針を掲げ、成長重視の考えを鮮明にした。PB黒字化目標に関して年度内の「検証」が盛り込まれ、PB目標年次の先送りを示唆。新型コロナ禍下で傷んだ財政規律を回復する道筋は見えないままだ。

 麻生太郎財務相は骨太方針を決定した18日の臨時閣議後の記者会見で、PB目標検証について、昨年来の巨額のコロナ対策や少子化の進行を踏まえ「あまり希望的観測を入れても仕方ないし、かといって思っていたよりも経常利益が減っていない面もある。現段階では難しいが、年度内に再確認したい」と説明。その上で「経済再生と財政の健全化という2つの目標は両立していかなければならない」と強調した。

財務省内では25年度のPB黒字化は「実態はほぼ不可能」(主計局幹部)とされており、3~5年程度先送りされるとの観測が浮上している。今秋までの衆院解散後の内閣改造人事で麻生氏は留任する可能性が高いものの、事実上、麻生氏の在任中は財政の立て直しはほぼ手つかずのままになりそうだ。

 一方、学校法人森友学園の国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、自死した同省職員が改ざん経緯を記したとされる「赤木ファイル」について、麻生氏は22日の会見で「できる限りの調査を尽くした」と述べ、再調査しない方針を明言。黒塗り部分は個人情報など最小限にとどめたことも強調した。

遺族が原本開示を求めていることに関しては、「重複部分は外したがほぼ全部開示した」とし「われわれは真摯に対応してきた」と述べるにとどめた。

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