2021-07-12

【今の仕事は年収いくら?】職種ごとの市場価値を”見える化” パーソルHDに見る進化する人材サービス

社内とマーケットの職種ごとの報酬レンジなどがグラフでわかる『Salaries(サラリーズ)』

「仕事や組織のミスマッチを極小化、解消していくのがわれわれの役目」──。こう語るのは、今年4月パーソルホールディングス社長CEOに就任した和田孝雄氏。パーソルは企業、働く人のデータに加え、アウトソーシング事業によって多くの業務データを保有。こうしたデータを活用し、個人がより良くはたらくための支援から、企業や行政の業務効率化も手掛けている。働き方の変化に伴い進化する人材サービスの中身とは──。
本誌・北川 文子 Text by Kitagawa Ayako



ジョブ型雇用に対応した
報酬の見える化サービス

「世の中的に価値のある役職とは何かを確認する上でも『Salaries(サラリーズ)』は重要な指標になってくる」──。

 こう語るのは『サラリーズ』を利用する人事担当者。

『サラリーズ』とは、パーソルホールディングス傘下で転職サービス『doda(デューダ)』を手掛ける「パーソルキャリア」とシンクタンク・コンサルティングファームの「パーソル総合研究所」が5月から提供を開始した〝ジョブごとの報酬水準データ〟を提供するサービス。

『doda』の約100万件のデータをもとに統計化し、個人が特定できないデータに加工して提供している。

 業種や職種、グレード(役割階層)ごとの報酬水準や自社とマーケットの報酬レンジなどの比較ができるサービスだ。

 コロナ禍でテレワークの普及に加え、社会のDXが加速。企業はグローバル競争を勝ち抜くため、即戦力のジョブ型採用を進めている。

 だが、メンバーシップ型の終身雇用できた日本の労働市場には海外のような業界・業種ごとの労働マーケットは確立しておらず、採用を担当する人事部からは「DX人材を採用したいが、報酬がいくらなら採用できるのかわからない」といった声が増えている。

 そこで、パーソルはインフラづくりから始めようと『サラリーズ』を開発。

 昨年10月から約50社の企業にパイロット版を提供、今年5月から正式版の提供を始めた。

 パーソルは、労働環境の変化を〝個人〟と〝企業〟の側面から分析。〝個人〟においては、人生100年時代、1社で働き続けるのではなく転職を前提に〝自立的なキャリア形成〟が必要であり、〝企業〟は、個人の能力を引き出すための〝フェアな処遇〟つまり〝適切な報酬〟が必要だと考え、サラリーズを開発した。

 利用者の1社のソフトバンクは今、携帯事業を成長させつつ、新たな価値創出で通信外事業の拡大に注力。

 すると、「携帯電話事業ではエンジニアもネットワークやシステムエンジニアが中心になるが、新規事業の場合はAI、IoTのエンジニアが必要になってくる。そのとき、社内と社外の人材価値を認識することが重要になってくる」とソフトバンク人事総務統括・人事本部本部長の源田泰之氏は語る。

PCR検査も手掛けるソフトバンクG

「優秀な人材から辞めていく」とも言われるが、『サラリーズ』は職種ごとの平均給与水準を見える化しているため、事前に給与を引き上げるなど、優秀な人材の離職防止にも活用できる。

 パーソル総合研究所社長の渋谷和久氏は「人生100年時代、1社で働き続け、自分の人生を会社に託すことは難しい社会になっている。その中で重要なのは〝自分で決める〟こと。報酬は重要な要素なので、どのレベルでどんな報酬なのかを把握し、自己決定していくことが大切だと考えている。『サラリーズ』が企業そして個人の方々のスタンダードになり、中高生が将来、どんな職種があり、どんな報酬なのかを知り、大学の学部選びなどにもつながり、働くことに前向きになれる基盤、インフラとなるプロダクトにしていきたい」と意欲を見せる。

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