2021-06-30

【政界】行政の縦割り構造など「有事」に弱い日本をどう立て直していくか?

イラスト:山田紳



「当面」は支えるが…

 菅周辺は「首相の頭にはコロナワクチンのことしかない」と漏らす。その先にあるのは9月末に自身の任期を迎える自民党総裁選、そして10月21日の任期満了を控えた衆院選だ。

 報道各社の世論調査をみると、内閣支持率は軒並み昨年9月の就任以降で最低を記録している。読売新聞が6月7日に公表した数字は内閣支持率が前月比6㌽減の37 %で、不支持率は同4㌽増の50%に達した。

 一方で、政党支持率をみると、自民党33%に対し、野党第一党の立憲民主党は5%に甘んじた。「菅政権はふがいないが、批判ばかりの野党はもっとダメだ」という世論の心理で菅政権は持っているともいえる。「ワクチン接種が進めば内閣支持率も上向く」(官邸関係者)という楽観的な見方もある。

 だが、自民党内の情勢を見ると、菅は決して安定してはいない。5月初頭に早々と菅続投支持を明言した前首相の安倍は、一方で盟友の副総理兼財務相の麻生太郎、党税調会長の甘利明とともにさまざまな議員連盟の中心メンバーになるなど、表での動きを活発化させている。

 3人と菅のイニシャルの頭文字をとった「3A+S」は安倍長期政権の要だったが、3Aと菅は思想・信条を共有した「心友」とは言い難い。菅を支える幹事長の二階俊博も「3A」の枠組みから外れている。

 しかも菅、二階の周辺は相変わらず不祥事が続く。菅を政治の師と仰ぐ元経済産業相の菅原一秀は選挙区での「政治とカネ」の問題で6月に衆院議員を辞職。菅を支える無派閥グループの中心にいた元法相の河井克行も司直の手に落ちた。二階派からは、わずか数年の間に河井案里、秋元司、

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