もっと科学的対応を!
「日本は伝統的な対応に依存して、科学的対応に失敗したんだと思うんです」
小宮山氏は、科学的対応の具体例として、東京大学工学部の合原一幸教授が出した『実効再生産数』を引き合いに話を進める。
実効再生産数。すでに感染が広がっている状況にあって、1人の感染者が次に平均で何人にうつすかを示す指数。1より大きい数値ほど、感染力が強く、感染が広がる状況にあることを示す。
専門的になるが、この実効再生産数は、(1マイナス有効接種率)×(1マイナス隔離率)×(感染率)×(感染に関与する人数)で得られる。
「第1項のワクチンの有効接種率、そして検査による隔離というのはPCR検査で捕まえたら隔離するということ。第3項の感染率というのは、マスクをしましょうとか、ディスタンスを取りましょうということや、接触したときにどれ位うつるのかという率。最後が感染に関与する人数のことで、これは要するに完全にロックダウンをやれば、ゼロになる。この積(掛け合わせ)で実効再生産数が表せるということです」
具体例を挙げると、イスラエルなどは第1項の有効接種率の段階で、「もうほとんど全員がワクチンを打ったから、これで実効再生産数はゼロになる」ということ。
第2項のPCR検査では、例えば米コーネル大学などが、全学生、全職員を対象に、1週間に2度の検査を実施。こうした対応で、同大学は教授と学生の対面授業を再開している。ワクチン接種、PCR検査を徹底することで、感染者をぐっと減らすという方策である。
日本で今、取られている対策はマスク着用、ディスタンスを十分に取ってというもので、盛り場やイベント会場などへの『不要不急の外出は避けて、人流を減らそう』というやり方が主流。
「ええ、日本はこの最後の2項目だけでやっているんですよ」
小宮山氏は、科学的対応が必要として、次のように訴える。「わたしの答えは、検査を拡大せよ、ワクチンを急げ、そして社会を開けです」
民間の知恵や実行力も活用すべきというのが小宮山氏の考え。「ええ、PCR検査も、もう民間は2千円でやっていますからね」ということだし、官民連携で実をあげる道はある。
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