2021-06-28

廃業を決めたSBI子会社に金融庁が業務停止命令

金融庁はSBISLに業務停止命令を出した

2021年6月8日、金融庁はSBIホールディングス(北尾吉孝社長)の子会社、SBIソーシャルレンディング(SL)に対し、金融商品取引法に基づいた1カ月間の業務停止命令を出した。

 ソーシャルレンディングとは、お金を貸したい個人投資家と、お金を借りたい企業をインターネット上でマッチングするサービスのこと。SBISLは投資家から集めた資金を企業に融資する業務を行っていたが、融資した先の資金の使途が、投資家への説明内容と異なっていた。SBIは5月24日に、SBISLが全てのファンドを償還し、自主廃業することを決めている。

 問題となったのは、SBISLの貸付先で、太陽光発電事業などを手掛けていたテクノシステム社。17年から20年の間に借り入れた約380億円のうち、約130億円が募集時の説明とは違う使途に使われていた。すでにテクノシステム社長らは詐欺容疑で東京地検特捜部によって逮捕されている。

 SBISLは、業容の拡大スピードに社内体制が追いつかず、貸出先のリスクを把握できなかった。今回の事案を調査した第三者委員会の報告書によると、SBISLではファンド組成から貸付審査までを1人の担当者が担当していた。そのため業務過多になり、貸出先の口頭での言い分を鵜呑みにするなど、リスク管理ができていなかった。

「フィンテック」の名の下に、ネットを使って容易に資金を集めることができるようになったが、体制が追いつかずに管理がずさんになるという例が後を絶たない。こうした事態が続くようでは、新たな金融の仕組みの構築も覚束ない。

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