2021-06-30

【経済産業省】中小企業の休廃業増加でM&Aの推進計画を策定

新型コロナウイルスの影響で休廃業する中小企業が増えていることを踏まえ、中小企業庁は官民で合併・買収(M&A)を推進するための計画を策定した。M&A支援機関の登録制度を創設するほか、中小企業が自社の価値を客観的に把握するための簡易な評価ツールを作成。廃業に伴う経営資源の散逸を回避するのが狙いだ。

 東京商工リサーチの調査によると、2020年に休廃業・解散した企業は4万9698社で、00年の調査開始以来、過去最多となった。ただ、このうち6割は黒字企業。中企庁の担当者は「新型コロナで事業再構築の必要性に迫られている企業は多いが、経営者が高齢の場合、新しいことに挑戦できず事業継続を諦めてしまうケースもある」と話している。

 中小企業の経営者が第三者への事業譲渡を希望する場合、地域金融機関などのM&A支援機関に仲介を依頼するのが一般的。ただ、大企業のM&Aが売り手と買い手の双方に代理人を立てて交渉するのに対し、仲介では利益相反が起こりやすい。信頼できるM&A支援機関を見つけられず、経営資源を引き継がないまま廃業を決める経営者もいるとして、登録制度の創設を決めた。

 制度は今夏をめどに設ける方針。中企庁が策定した「中小M&Aガイドライン」を順守することが登録の条件で、年間のM&A成約件数などの実績も公開する。M&A支援機関の質を確保し、経営者が安心して仲介を依頼できるようにする。

 企業価値の評価ツールは、自社の財務状況などをパソコンで入力すると、粗い試算が簡単にできるイメージ。業界内や地域内における相場も加味し、価値を示したい考えで、21~22年度にかけて開発する。その後、事業承継・引継ぎ支援センターなどで無料で活用できるようにする方針だ。

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