2021-06-27

【農水省】鶏卵汚職で「行政ゆがめず」 枝元次官は続投の見通し

吉川貴盛元農林水産相が鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)の秋田善祺前代表から現金500万円を受領した贈収賄事件に絡み、農水省の第三者委員会(座長・井上宏弁護士)は調査報告書を公表。同省が前代表を特別扱いしていたことや、役所と業界の近さに対して苦言を呈しものの、「政策がゆがめられた事実は認められなかった」と結論付けた。

 また、同省は前代表から飲食接待を受けた幹部職員が処分された問題について、150人を対象とした追加調査結果を公表したが、畜産事業者ら利害関係者が費用負担した違法な接待は確認できなかった。これにより、枝元真徹事務次官の続投も固まった。

 吉川元農水相と前代表は、両者と関係の深い西川公也元農水相も交えて役所内外で複数回面会していた。前代表は鶏卵政策に関する要望を吉川元農水相に行っており、調査の焦点は、家畜を快適な環境で飼育する「アニマルウェルフェア」の国際基準案への行政対応だった。

 前代表ら養鶏関係者は経営に打撃を与えるとして、止まり木設置などを義務付ける案に猛反発。吉川元農水相に反対するよう働き掛け、同省は国際機関に反対意見を提出した。

 ただ、同省の対応は従前の方針と変更点がなく、報告書は「公正性に関する問題点は特に認められなかった」としている。

 前代表は、日本政策金融公庫の融資条件緩和などを同省に要請したが、いずれも「公正性に関する問題点は認められなかった」と認定した。一方、同省担当者が公庫の専務と前代表の面会をセットしていたことが判明。同省が前代表を優遇したとも受け取れ、報告書は「不透明さが認められる」と非難した。

 第三者委と標榜しながら、職員への聞き取りは法曹資格を持つ農水省職員が行い、「お手盛り」との批判もつきまとう。同省は調査報告書の公表で幕引きを急ぐ考えだが、行政の透明性向上を図るための取り組みに終わりは存在しない。

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