2021-06-24

【株価はどう動く?】株価の調整局面入りを判断するための「3つのチェックポイント」とは?

今後の米金利上昇が示すものとは?


 昨年2月以降、新型コロナウイルス感染拡大によって、実体経済の悪化は続いています。しかし、日経平均株価は2020年3月19日の1万6358円をコロナショックの安値、大底として1年以上上昇しています。

 日柄、時間の波動から見て佳境に入っていると見てよく、いつ下落、調整局面に入ってもおかしくない状況です。ただし、株高トレンドは継続して、一旦しゃがみこんで上がるということになると見ています。

 ニューヨークダウも、昨年3月23日の1万8213㌦を底に上昇して、5月10日の3万5091㌦まで押し目らしい押し目もなく上昇しています。ですから波動から見ても、21年の年末までに調整が入る可能性があると見ていますが、それがどのタイミングなのかを読むのが、これからの勝負となります。

 以前から指摘しているように、日米ともにワクチンが行き渡って、コロナ感染拡大がピークアウトしたといった安心宣言のようなものが出た時が、目先の天井になると見ています。日本も急速にワクチン接種が進んでいますから、7月の東京五輪開催の頃にはピークアウトする可能性があります。

 東京都議会議員選挙も近づいていますが、これはあくまでも前哨戦で、この秋にも行われる見通しの総選挙が本番となります。ここで与党、自民党がどの程度の負けですむか? というところにかかってきます。

 その意味で調整局面入りを判断するチェックポイントの第1は、前述のワクチン接種の進展です。米バイデン大統領などが「世界はコロナを克服した」などというメッセージを出した時が要注意です。

 第2に金利上昇です。米国は600兆円を超える景気対策を実行しようとしていますが、これだけの財政出動を行えばインフレになるのは、ほぼ確実ですから、年末にかけて金利が上がってくることになります。しかし、経済の実体悪は続きますから、「インフレ時の金利急騰」にはならないでしょう。

 今、世界経済、日本はデフレの中にあります。正常な金利と言えるのは2%程度ですが、おそらく米国の金利はこの2%に向かうことになります。この金利上昇局面ではインフレ懸念で株が売られることが多いですし、実際にそういう局面を迎えることもあると思います。

 しかし次第に600兆円の景気対策が効いて、米国の景気が非常によくなっています。今年の4―6月期には米国経済はいい数字が出てくるものと予想されています。GDP(国内総生産)の成長率は6・9%成長が見込まれている他、一部のアナリストは10%成長もあり得るとしています。

 こういう流れになると、ある時点で金利が上昇しても株価は下落しなくなります。米金利上昇でインフレを懸念するのではなく、景気がいいから金利が上がっているという流れに変わるからです。早ければ今年の夏場以降には、こうした状況が訪れる可能性があります。こうなると、株高のフィナーレに近づくことが予想され要注意です。

 あえて第3のチェックポイントを指摘するとすれば、トランプ前大統領が登場以降、米国株高が続いていますが、その牽引役は「FAGA」、「MAGA」と呼ばれるビッグハイテク企業でした。しかし直近、これらの企業の株価は頭打ちになっています。これは金利上昇を嫌気してのことです。

 前述の金利に関連して、これらビッグハイテク企業の株価は金利上昇に関係なく上がるということになれば、年末にかけて二番天井を打ち、その後下落調整局面に入ります。日本の株価の動きも、これに連動するでしょう。

「米中対立」で西側結束へ


 東京五輪の開催の是非が議論されていますが、開催した方が経済にはプラスですし、私は開催されると見ています。

 なぜなら、開催反対派は五輪開催で感染が拡大すると主張していますが、ワクチンが行き渡れば、その主張は通らなくなるからです。

 そして地政学的には、常々中国リスクが言われていますが、私は中国は今がピークだと見ています。「米中対立」といいますが、今後は米国が中国の動きを制圧することになるでしょう。つまり、米中の力の格差は思われている以上に大きいということです。

 そして、独裁的な社会主義を基本とする中国の国家体制を考えても、そこに本当の意味で賛同する国は多くないと思います。対中国で西側諸国が結束する中、ロシアが中国側に付くといった動きをする可能性は高いですが、米国の軍事力は圧倒的です。

 そして米国が民主主義国家であることも大きい。なぜなら、民主国家でなければ「人材」は生まれないからです。

 誰もが自由に教育を受けることができ、自由に言論、主張ができる、ということが国家の発展の基礎だからです。日本が戦後成長することができたのは、民主国家であることを貫いたからです。

 中国自身も、このことに気がついていると思います。仮に、覇権を求めて台湾などに侵攻してしまうと、米国の強力な軍事力の反撃によって、自らの弱みを露呈することになりかねませんから、そうした行動には出ないのではないかと見ています。これは戦前の日本のたどった道でもあります。

 当面は米国による「バイデン砲」の恩恵で株高が続き、それに引っ張られて日本の株価も上昇します。

 今の状況では、市場に高値警戒感がありますから、米国株は天井を打たないでしょう。この警戒が解かれたところが天井になります。

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