2021-06-23

システム障害再発のみずほ銀 変わらぬ企業風土に課題

みずほFGが行った会見の様子

危機管理体制のもろさで事後対応が遅く


「反省を胸に刻んで、再発防止に自分の責任として取り組む」と厳しい表情で話すのは、みずほフィナンシャルグループ社長の坂井辰史氏。

 2021年6月15日、みずほFGはみずほ銀行で起きたシステム障害に関して、第三者委員会の報告書を受領。それを受けて再発防止策と、報酬減額など関係者の処分を発表した。

 21年2月28日午前10時頃に発生したATM障害から2週間足らずで4度の障害が発生。報告書によると最初のATM障害では、センターから各部署にエラーが起きている情報が発せられていたが、それを重大事象と見て動いた関係者がいなかったことが記されている。

 結果、みずほ銀行頭取の藤原弘治氏は13時頃にネットニュースで事態を知ることとなり、みずほFG社長の坂井氏は14時頃にメールを受信、見ることができたのは16時頃だった。危機時にトップに迅速に情報が伝わる体制になっていなかった。

 また現場も、ATMにカードが取り込まれて立往生する顧客がいる中、休日だったこともあって電話対応の人員が足りず、14時25分に出された全拠点の部店長・職員への出勤指示が完了したのは17時という遅さ。

 当初は新たに構築した勘定系システム「MINORI」に問題があったのではないかという見方もあったが、報告書が浮き彫りにしたのは、みずほFGの危機管理体制のまずさだった。

 会見前までに、みずほ銀頭取の藤原氏の辞任情報が流れたが、続投することになった。この人事を巡っては監督局など金融庁とのコミュニケーションの問題、さらには旧第一勧業銀行出身のOBなどの介在も取りざたされるなど、なかなか変わらない企業風土の課題も指摘される。

 人とシステムの関係が問われる。世の中に完全なシステムは存在しない。大事なのはトラブルが起きた時に迅速に対応し、顧客対応やシステム等の復旧にあたる体制。みずほFGには、この危機管理体制の構築ができていなかったということ。

 3度目となるシステム障害となったが、ここで体制を立て直せなければ後がない。坂井氏が再生戦略を実行し切ることができるかが問われる。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事