2021-06-21

【コロナ禍で再注目 医療を支える企業】今年創業100年迎えるテルモ社長CEO・佐藤慎次郎氏の思い

佐藤慎次郎

「100年前も、これからも、『医療を通じて社会に貢献する』会社として」
佐藤慎次郎・テルモ社長CEO


「テルモは100年前、医療に欠かすことのできない良質な体温計を国産化するために設立されました。今日に至るまで、医療現場から求められる会社、医療の発展に寄与できる会社として成長してきました」(テルモ社長CEO・佐藤慎次郎氏)

 今年9月、創立100年を迎えるテルモ。新型コロナウイルスで社会が混乱する中、重症患者の最後の砦となる『ECMO(エクモ)』を提供する企業としても注目された。新型コロナのワクチン接種でも、薬剤の残量を少なくする注射器を製造販売。

 また、WHOがワクチンの公平配分に貢献するための基金として設立した『新型コロナウイルス感染症連帯対応基金』に2年続けて100万ドルを寄付している。

 2021年3月期決算は、新型コロナによる受診控えなどの影響で、売上高6138億円(前年比2・4%減)、営業利益984億円(同11・1%減)と減収減益だったが、今期は売上高6800億円、営業利益1300億円と増収増益を見込む。

 テルモの事業セグメントは、カテーテルや人工肺などの「心臓血管カンパニー」、輸液剤や血糖測定システム、医薬品同梱用注射針などの「ホスピタルカンパニー」、血液バッグや成分採血システムなど「血管・細胞テクノロジーカンパニー」の3つ。

 コロナ禍でも「ホスピタル」と「血液・細胞テクノロジー」の2カンパニーは前期も増収。医療現場になくてはならない製品を提供、医療を支えている。

 現在、3カンパニーがバランスよく成長しているが、数年前はカテーテル関連が突出していた。佐藤氏はカテーテルに加え、他の製品を伸ばすことでテルモ全体の成長拡大を牽引してきた。

 アップルやグーグル(アルファベット)、マイクロソフトなどGAFAMが医療分野に進出するなど、医療の世界もデジタル化で大きく変化している。

 テルモも「今までは〝問われたもの〟を形に変えて、作ってお出ししてきましたが、これからは必要とされるものを一緒に考えていけたら。今までの枠に留まらない、病院外の患者さんの病気などにも目を向けられたらなと思っています」(佐藤氏)
 次の100年も、時代の変化に対応した医療を提供し、成長を図っていく。 (北川 記)



さとう・しんじろう
1960年7月東京都出身。84年東亜燃料工業(現・ENEOS)、
99年朝日アーサーアンダーセン(現・プライスウォーターハウスクーバース)入社。
2004年テルモ入社、10年執行役員・経営企画室長、
11年心臓血管カンパニープレジデント、12年上席執行役員、14年取締役、17年4月社長CEO。

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