2021-06-22

【エンタメから社会課題解決まで】DX時代、DeNA新社長・岡村信悟氏が目指す社会的役割

コロナ禍で新たなスポーツ観戦スタイルを提案 ©YDB


岡村氏が考える
DeNAの強さと弱さ

 その中で、岡村氏はDeNAの強さと弱みを次のように分析。

「ピラミッド型ではなく、フラットで風通しの良い組織のため個の力が発揮されやすい」一方、「規模が大きくなり、事業領域も広がる中でパートナー企業との協業が大事になっている。社内外での連携をもっと強くしていく必要がある」という認識だ。

 過去20年は〝永久ベンチャー〟として必要な知識やスキルを個人が習得し、事業を成長させてきた。だが、「個の力に頼る組織形態」にもなっていた。そこで「成熟した会社として、個をつなげて組織の強み出していく」。

 経営のカジ取りもこれまではCEO自らが先頭に立って事業を伸ばしてきたが、これからは「CEOは各事業のリーダーを俯瞰して見ながら、DeNAという1つの船の中長期的な展望を導いていけるようにする」と語る。

 岡村氏だけでなく、6月の株主総会を経て、新たに取締役兼執行役員最高財務責任者(CFO)兼経営企画本部本部長に自治省(現総務省)出身で、13年に入社した大井潤氏が就任。また、全薬工業を経て、02年DeNAに入社した渡辺圭吾氏が取締役兼執行役員最高事業開発責任者(CBO)兼渉外統括本部本部長に就任する。

「渡辺は任天堂やクボタ、セコムとの協業を主導している人物。そのCBOの渡辺とCFOの大井の3人体制」で経営をカジ取りするという。

 4事業に新規事業とやるべきことが明確な中、CEOは事業から少し離れた視点を持ち「次のリーダー育成」も進めていく。

 連携という観点では、岡村氏の官僚としての経験が生きてくる。総務省では郵政事業から官邸、地方自治体関連まで幅広い領域で仕事をしてきた。

 岡村氏は自らの役割について「自分の専門性よりも、専門性を持った方の力を引き出すことのほうが大事。専門性は各事業のリーダーが持っている。わたしは、より俯瞰的に中長期的な視点を持ちながら会社の進むべき方向を見定めていく」と語る。


Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事