2021-06-22

【コロナ危機克服へ】真価問われる十倉経団連

6月1日に始動した十倉経団連

脱炭素で国際競争力を強化

「経団連は、産業界の利益だけでなく、社会全体の利益を求めなければいけない。マルチステークホルダーに広く支持される団体として、建設的な対話をしていきたい」──。

 6月1日、住友化学会長の十倉雅和氏が経団連会長に就任。三菱電機会長の柵山正樹氏、日立製作所会長兼社長の東原敏昭氏、日本製鉄社長の橋本英二氏、パナソニック社長の津賀一宏氏、ディーエヌ・エー会長の南場智子氏、経団連事務総長の久保田政一氏の6人の新任を含め、9人の副会長と十倉経団連を始動させた。

 十倉氏がキーワードとして掲げるのが「社会性」「国際協調」「デジタルとグリーン」の3つ。

「社会から切り離された経済ではなく、より良い社会を実現するための市場経済を模索」し、米中対立などがある中でも「地球温暖化や生態系の破壊などを解決するには国際協調が不可欠」と考える。そして「DXとカーボンニュートラルで成長」を目指していく。

 今回、新副会長に就任した東原氏は「成長戦略の中でも、コロナ対策も含め、すべてのソリューションのベースになるDXが最重要課題だと考える。また、地球温暖化の取り組みなどで、日本が国際社会から期待されるようにならなければいけない。業種、企業の垣根を越えて、社会の課題解決に全力で取り組んでいく」と意欲を語った。

 産業競争力強化委員会、中国委員会の委員長を務める橋本氏は「多くの課題は官民あげて総力戦で戦わなければ解決できない。将来世代の負担を減らすためにも、新たな技術を提供することで責務を果たしていきたい。カーボンニュートラルは大きな挑戦だが、開発力で競争力を付け、知財もしっかり守ることで中国にも堂々と対抗できるようになると考えている」と語った。

 また、初の女性副会長となる南場氏は「日本経済のダイナミズムを取り戻すために、5年でエコシステムを強くし、ユニコーンの数を今の10倍にしていく」と目標を語った。

 コロナ禍など危機対応への遅れ、カーボンニュートラル時代に向けた原発再稼働など、世論が二分する中で、どう解決策を示していくか。十倉経団連の真価が問われる。

カーボンゼロ社会は実現するか?

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