2021-06-21

リブセンス社長・村上太一「世の中に価値あるものを提供し、課題を解決し続ける企業でありたい」

村上太一・リブセンス社長

新しい働き方は後戻りしない


 新型コロナウイルスの感染拡大は、当社の事業にも大きな影響を及ぼしました。

 例えばアルバイト・パートの求人サイトである「マッハバイト」では飲食系や小売り・リテール系など、特にコロナの影響を受けた領域が多かったですし、転職求人サイトの「転職ナビ」は未経験者から電話相談などを受け、転職に導くサービスですが、企業側の未経験者需要が減少したこともあってダメージを受けました。

 一方、デジタルトランスフォーメーションの流れを受けたエンジニア領域の求人や、先程の未経験者需要減少の裏返しでキャリア層の転職などは昨年対比でも堅調に推移しています。当社のポートフォリオの中でも業績にバラつきが出ているのです。

 また、社内のことでいえば、当社は宮崎県のオフィスを持っていますが、コロナによってリモートワークが常態化したこともあって、従来以上に場所の制限なく働くことが可能になったことを実感しています。

 ですから東京・目黒に本社以外に拠点を持っていましたが、新しい働き方は不可逆的なものだと判断して解約しました。これは大きな変化だと感じます。
社内
現在、リモートワークを基本にしているため、オフィス内に人は少ない。出社している社員とサイトのデザインについて話す村上さん

後発だからこそできる発想で


 当社はこうした変化の中で新たなサービスにも取り組んでいます。その1つが提案型マッチングサービス「knew(ニュー)」です。

 従来、マッチングサービスは直接会うことが基本でしたが、コロナで人々の接点がオンライン化する中、knewはオンラインを前提としたサービスとして開発しました。

 当社のコアには創業以来、人と求人、不動産など「マッチング」があります。そこで培ったノウハウ、技術を生かすことができる領域が、この提案型マッチングサービスだと考えました。

 我々のフィロソフィーは「幸せから生まれる幸せ」、コーポレートビジョンは「あたりまえを、発明しよう。」ですが、社会に価値あるものを提供し、課題を解決していくという考えが根本にあります。

 私は未婚ですが、実際に私自身が他社サービスを利用してみることで課題が見えてきました。そこで、検索や「いいね」、メッセージのやり取りが不要で、内面や価値観の相性を分かりやすくするために顔写真を非公開としたブラインド型のマッチングサービスとしました。コンセプトは「まるで、親友からの紹介。」です。

 これは私自身が創業時、自分がアルバイト探しの中で感じた課題を解決するサービスを生み出そうと考えた発想と同じです。

 当時、求人サイトは掲載料をいただくのが当たり前だったところに、初めて掲載料無料の成果報酬型のサービスを始めました。後発だからこそ、違うアプローチでその時代に合ったサービスを打ち出すことができたのです。

 世の中が変化する中で、そこには必ず「歪み」が生じ、新たな事業を生み出すチャンスが出てきます。

 そこに向けて今、複数の新たなサービスのアイデアが社内から出てきていますから、その一瞬のチャンスを掴みたいと思っています。

 今、サービスは利用者が使いやすいシンプルさと、その利用のデータを元に最適化していくことが重要になっています。

 社名のリブセンスは「生きる意味」を表わしています。今後も当社のサービス、プロダクトで社会にいい影響を与えていくことができる存在でありたいと思っています。

 そして社内の「個」の力が最大化されるような組織であることを意識しています。そのために情報の透明性、正しいことを言えるプラットフォームでありたいと考えています。


むらかみ・たいち  1986年10月東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部在学中の2006年にリブセンスを設立、社長に就任。11年12月東証マザーズに上場、12年10月東証1部に指定替え。

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