2021-06-12

【作家・倉本聰】放送開始40周年を迎える『北の国から』の主人公・黒板五郎が訴えてきたものとは?


40周年を迎える『北の国から』主人公・黒板五郎の死

 ── 「死」をどう考えるか、そしてこの富士山の話と、全てがつながってきますね。

 倉本 ええ。実は今年は『北の国から』が放送開始40周年に当たります。10月に向けて最後のドラマを書いているんです。それは主人公の黒板五郎が死ぬドラマです。黒板五郎は自分から山に入って死ぬんです。それで、自分の肉が動物たちに食われ、骨は微生物が分解する。

 そして、完全に自分の身がなくなったときに、自分の死を全うする、自分の生が終わるという哲学、自然の循環の中で完結しようというのが黒板五郎の人生哲学なんです。でもこれはオンエアしません。富良野でのイベントやユーチューブで流そうかと思っているところです。

 ── 黒板五郎の精神が海抜ゼロの再考になるわけですね。

 倉本 まさにそうです。それが昭和の発想だと僕は思っています。明治、大正を経た昭和です。幕藩体制が終わって日本は始まりました。ですから、最初は乱暴な戦争を仕掛けたりした。それが戦後になって平成・令和になったときに考え直すときにきた。その間に、ちょっと変な考え方をいっぱい取り入れてきてしまったんですね。

 その歪みが今になって出てきたわけです。ですから、ゼロからもう一度、物事を考え直す。それが我々、日本人に求められているのではないでしょうか。

【私の雑記帳】『財界』主幹・村田博文

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