2021-06-11

”ミドリムシに恋した男”ユーグレナ社長・出雲充の「脱・ミドリムシ」論

出雲充・ユーグレナ社長




持続可能な社会をつくるためできることは何でもやる



 ―― 出雲さんが2005年にユーグレナ社を設立して15年余が経ったわけですね。この間、変わってきたことと、変わらないことの両方があったと思うんですが、改めて、出雲さんの事業観を聞かせてもらえますか。

 出雲 おかげさまで15年間、企業活動をさせていただきまして、「ユーグレナと言えば出雲君に頼もう」と言っていただくことが多くなりました。これについては本当にありがたいですし、感謝しかありません。

 この間、わたしは『ユーグレナで人と地球を健康にする』と言い続けてきました。この理念は今も変わっていませんが、ただ、ここまで事業が大きくなってくると、全てがユーグレナというわけにもいかなくなってきた。ユーグレナ単独主義にこだわっていたら大きなことができないんですよね。

 そこで昨年8月、当社はコーポレート・アイデンティティを『Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)』に変更しました。われわれは次代を担う子供たち、孫の世代、持続可能な社会をつくるためにできることは何でもやろうと。だから、ユーグレナもやるし、キューサイさんと一緒に青汁もやるということなのです。

 ―― ユーグレナ・アンドということですね。

 出雲 そうです。だから、わたしが今やろうと思っていることは、ユーグレナだけではありません。

 わたしの悪い癖で、今までは全てをユーグレナでやろうと考えていました。しかし、最大の目標は人が健康になり、地球が健康になることが一番大事なことですから、今後はユーグレナと相性のいいものを掛け合わせることで新たな成長を図っていく。その一環として、キューサイさんと手を組んだわけです。

 ようやく完成したバイオジェット燃料も、現在はユーグレナとご家庭やレストランで使い終わった使用済み食用油などを混ぜてつくっているんですが、それはユーグレナだけでは全然量が足りないからです。

 ―― なるほど。ユーグレナだけではできない。

 出雲 できないというか、わたしが全部ユーグレナにしろと言うのは簡単ですよ。しかし、それでは規模がものすごく小さいものになってしまうんです。

 だから、これからは青汁のように、いろいろなものを組み合わせて、例えば、ユーグレナと使用済み食用油を混ぜてバイオジェット燃料ができるのなら、もっと世の中の役に立つ工場ができるわけじゃないですか。だから工場を建設する時も、ユーグレナと使用済み食用油などを混ぜてジェット燃料をつくることのできる工場にしたんです。

 周りから見れば、まだ15年目の歴史の浅い会社ですが、わたしは地球全体を健康にするためには、もっと急がないといけないと思っています。もっと加速して成長しないといけませんので、次の10年はユーグレナを何か新しいものと組み合わせて成長を加速させていこうと考えているところです。

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