2021-06-08

【資生堂のグローバル戦略】 目指すは「スキンビューティーカンパニー」 化粧品ブランド『SHISEIDO』の育成戦略

『SHISEIDO 』初のブランド旗艦店(中央区銀座3丁目)は、テクノロジーとヒューマンタッチを融合させた最先端の店舗


コロナ禍でも伸びる
男性化粧品

「5〜6%前後で成長するなど、ビジネスとしての成長機会がある」(行定氏)と力を入れるのが男性向け化粧品。

 今年3月『SHISEIDO MEN』をリニューアルし、世界を代表する人気サッカー選手、セルジ・ロベルト氏を“アンバサダー”に任命し、認知度向上を図っている。

「FCバルセロナのキャプテンで、スペイン代表にも選ばれる素晴らしいサッカープレイヤーであり、かつインスタグラムで奥さんとの生活を積極的に発信するなどブランドメッセージを多面的に体現できる素晴らしいアンバサダー」(行定氏)だ。

 国によって男性の化粧文化に違いがあるが、資生堂は研究から「男性の肌は女性の肌よりも抗酸化力が弱く、酸化ストレスの影響を受けやすい」ことを発見。その結果、女性よりも紫外線ダメージを受けやすく、バリア機能が弱いという。

『SHISEIDO MEN』ではそうした男性ならではの肌質に着目、男性向けにも美容液『SHISEIDOMEN アルティミューン』を発売。新たなニーズ掘り起こしを進めている。

 また、血流が良くなるため「湯上りの肌はキレイ」と言われるが、『SHISEIDO』はこれまでの研究成果をまとめ、血管の構造を丈夫にすることで恒常的に血流を促進し、肌の強さと美しさを引き出す『Lifeblood Research』という取り組みに着手。この研究成果を商品開発、さらには「生活者へのソリューションとして応用」するなど、科学に基づいた商品開発や新たなソリューションの提案にも力を入れる。

 今は、環境への取り組みがブランド価値にも影響する時代。

『SHISEIDO』はサステナブル活動の一環として、日本ならではの“もったいない文化”を取り上げ、美容液『アルティミューン』のボトルを衛生管理された環境下で洗浄して詰め替えする、世界でもめずらしい“レフィル”サービスを開始。また、一部製品で生分解性プラスチックを使ったケースを採用するなど、社会課題解決にも対応する。

「日本の良い考えと欧米の合理的なものを融合させたユニークなグローバルブランドとして世界での存在感を高めていきたい」と行定氏。国内外で競争が激しくなる中、技術力、人の力、DXで「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」実現を目指していく。

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