2021-06-08

【一時、時価総額で花王超え】資生堂・魚谷雅彦社長が進める「高付加価値化粧品」戦略

魚谷 雅彦・資生堂社長兼CEO


はやくから進出し成功した中国事業

 ── 資生堂は中国でも人気のブランドですが、改めて中国事業の考え方を聞かせて下さい。

 魚谷 資生堂は1981年に中国の北京で販売を開始しています。日本企業としてはかなり早い時期で、福原義春さん(現・名誉会長)は〝井戸を掘った人〟として北京市の名誉市民にもなっています。福原さんがスタートされて、中国で資生堂が化粧文化を根付かせ、信頼される名前になったことは大事な財産になっています。

 ── 漢字の社名にも馴染みがあるのかもしれないですね。

 魚谷 そうですね。社名はもともと中国の古典「易経」から付けたこともあります。商品については最初から、高級化粧品を中心に扱っていたので、資生堂は技術力が高くて、効果も高い、良い化粧品だと中国の方に評価されています。

 資生堂に続く形で海外メーカーが参入し、今、大変な競争状態になっていますが、それでもなお大きな可能性を感じています。おかげ様でこの数年間、中国事業は2000億円を超える売上規模に成長しています。わたしが入った頃の倍以上の規模になり、さらに伸長しています。

 また、中国はデジタル分野の発展した国なので、Eコマースなどのビジネスモデルについても、とても参考になることが多いんです。中国国内向けには、北京や上海に生産工場がありますが、日本の工場で作った商品も中国に輸出しているので、今後増加するニーズに応えるため、この3年間で、日本に新たな工場を3つ竣工するという大きな投資をしています。

 日本のメーカーである資生堂が、グローバルでいろいろな地域のニーズを取り入れた商品を開発することはとても重要ですが、メイドインジャパンの価値と、高い製造品質の管理を通じて、より一層、ブランド価値を磨いていきたいと思っています。


高級品に注力、資生堂のブランド戦略

資生堂社長兼CEO
魚谷 雅彦
Uotani Masahiko

うおたに・まさひこ
1954年6月奈良県生まれ。1977年同志社大学卒業後、ライオン入社。
83年コロンビア大学でMBA取得。その後、シティバンク、クラフト・ジャパン(現・モンデリーズ・ジャパン)を経て、
94年日本コカ・コーラに取締役上級副社長・マーケティング本部長として入社、2001年10月同社社長、06年会長。
07年ブランドヴィジョンを設立して社長に就任。13年4月資生堂マーケティング統括顧問、14年4月執行役員社長、
同年6月代表取締役に就任。

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