2021-06-06

【経済産業省】洋上風力発電の普及へ 欧州との連携を強化

経済産業省は洋上風力発電の普及に向け、欧州との連携を強化する方針だ。普及が進む欧州の技術を導入し、日本企業が部品を提供してサプライチェーン(供給網)を構築する構想を描く。将来的には、製造拠点の国内誘致やアジアへの輸出も視野に入れる。

 政府は2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロに向け、洋上風力を脱炭素化の「切り札」と位置付ける。世界では風力発電ビジネスが拡大しており、出遅れが指摘される日本勢も日欧連携で巻き返しを図る。

 日本企業は既に風車製造から撤退しているため、ヴェスタス(デンマーク)やシーメンスガメサ・リニューアブル・エナジー(スペイン)といった欧州の大手企業との連携が鍵になる。政府は5月半ば、風車関連部品の製造技術を持つ日本企業と欧州企業のマッチングイベントを開催。高い技術を持つ国内の中堅・中小企業を発掘する狙いもある。

 洋上風力は、部品点数が1万~2万点と多く、事業規模は数千億円に上り、経済波及効果が見込める。地域活性化にも寄与するため、政府としては部品供給網の構築を突破口に日本企業の関与を深めていく方針だ。

 ただ、日本での洋上風力の普及は容易ではない。日本周辺には、風車本体を海底に固定する「着床式」に適した遠浅の海域が少ないからだ。水上に浮かべる「浮体式」は深い海域にも設置できるが、欧州でもまだ商用化に至っていない。また、適地の選定にも時間がかかるため、30年時点での稼働も一部にとどまる見通し。普及を促進するためには、民間企業の積極関与を促す取り組みが不可欠だ。

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