2021-05-28

菅の政権運営を左右する6月 全てはワクチン次第か……

イラスト:山田伸



 6月は薄氷を踏むような政権運営が続くことになるため、菅は自民党内の「菅おろし」も警戒する。

 永田町で囁かれた「4月解散」を見送らざるを得なくなり、菅は4月23日の記者会見で、衆院解散の時期について「私の自民党総裁としての任期の中で、機会を見て考えないといけない」と語った。

 菅の総裁任期は9月30日まで。それまでに衆院を解散する考えを示したのは、衆院選の前に党総裁選を実施すれば「総選挙で勝てる総裁選び」となり、「選挙下手」とのイメージが強まっている菅には不利といえる。それだけに、次期衆院選は総裁・菅で戦うというイメージを党内に印象づける狙いがあったといえる。

 前首相の安倍は5月3日の民放BS番組で「継続して首相の職を続けるべきだ」と述べ、菅の続投支持を早々と表明した。総裁選前に衆院解散・総選挙に踏みきり、自民党を勝利に導けば、無投票で総裁再選の道も開ける。

 安倍にとって、キングメーカーとして存在感が示せる上、3年後の再々登板の芽も残すことができる。それ以上に、総裁選前倒しなど「菅おろし」にクギを刺すことを狙ったようだ。

 コロナの感染拡大で国民が苦しんでいる中で、党内で権力闘争をしていては国民の支持離れを招く。そうなれば〝敵失〟待ちの野党を利するだけになる。

 自民党幹事長の二階俊博も周囲に「余程のことがない限り、菅が首相を続ければいい」と語っている。

 菅が描くシナリオ通りに進むかどうかは、6月のコロナ感染の状況とワクチン接種の見通し次第と言える。しかも6月の首都決戦や自民党内の動きも複雑に絡む。大きな政治決断を迫られる6月を菅はどう乗り切るのだろうか。 (敬称略)

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事