2021-05-26

セブンの米コンビニ買収に当局関係者が懸念を表明

セブン&アイ・ホールディングス(井阪隆一社長)は、5月14日付けで米石油精製大手マラソン・ペトロリアム傘下のコンビニエンスストア・スピードウェイの買収を完了した。買収価格は約2・3兆円で、同社にとっては過去最大の買収だ。

 だが、翌15日、米連邦取引委員会(FTC)の委員2名が、特定の地域において競争法上(独占禁止法)の懸念が存在することを示唆する声明を発表。委員2名による主張には法的な拘束力はないというものの、同社は2名の委員に対し「事実が正しく認識されていないため、本声明に失望しています」とのコメントを発表している。

 セブン&アイ傘下の米セブン-イレブンは現在、米国で首位となる約9800店を運営。同社は昨年8月にスピードウェイの買収を発表。買収が完了すれば、米セブンは2位企業を大きく引き離すことになる。

 そうした状況下、セブンによると、4月末に293店舗のガソリン販売店を売却することで、委員らが声明で言及している競争上の懸念をすべて解消する和解契約を締結したとのこと。

 ただ、「合法的であり、これに反する声明や示唆は誤り」と主張するセブンだが、今後のセブンの米国での事業展開に何らかの影響が出ないとも限らない。

 いずれにせよ、長年成長してきたコンビニエンスストア業界も国内市場の成長が鈍化。今後は大きな成長が期待しにくく、セブンも海外市場の強化で新たな成長を取り込みたい考え。

 また、“モノ言う株主”として知られる米投資会社バリューアクト・キャピタルが、同社の発行済み株式約4%を取得していることも明らかになったばかり。2016年5月の社長就任から丸5年が経った井阪氏も緊張感のある舵取りが続く。

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