2021-05-22

【いま注目のNFTとは?】 デジタル作品が75億円で落札 なぜスタートバーンが“アート市場”で注目されるのか?

シールタイプの『Startbahn Cert. 』のICタグと証明書情報を閲覧できるビューア

「真正性の担保、来歴の記録、二次流通管理できればアート市場は拡大する」──。2014年にスタートバーンを創立した代表取締役CEOの施井泰平氏。自らも芸術家である施井氏が考えるテクノロジーを使ったアート市場づくりがブロックチェーンへの期待と共に注目を集めている。ブロックチェーンによる新たなビジネスの形とは──。
本誌・北川 文子 Text by Kitagawa Ayako





仮想通貨から

希少品の“真正性”の証明へ

 クリスティーズで、ある作品が75億円で落札された。米国人アーティスト、ビープル氏の作品で、彼が5000日間、毎日発表し続けた作品を1つの作品としてまとめたものだ。世の中に驚きを与えたのは、それがデジタル作品だったからだ。

 デジタルは簡単にコピーができてしまう。マンガや動画などコンテンツホルダーは、コピーの流通で多大なダメージを受けてきた。だが、ブロックチェーン技術によって、その問題が解消されようとしている。

 ブロックチェーンというと、ビットコインなど仮想通貨が想起される。米バイデン大統領がキャピタルゲイン課税を倍にする方針を示したことでビットコインは急落したが、4月14日にナスダックに上場したコインベース・グローバルは8兆円の時価総額を付けた。コインベースの高評価には、ノンファンジブル・トークン(NFT、代替不可能なトークン)への期待も含まれるといえる。

 ビットコインは現金などに代替可能だが、NFTは代替不可能。“1品モノ”や“限定品”の「真正性」の証明にブロックチェーンが使われている。

 ビープル氏の作品もNFTによって真正性が担保され、高値で落札されたというわけだ。

 ツイッター創業者のジャック・ドーシー氏も「ツイッターへの最初の投稿」をNFTで販売したところ約3億円で落札。米プロバスケットボールNBAが人気選手のプレー場面をデジタルカード『Top Shot』として販売、高額で取引されるなど、NFTを使ったビジネスが続々と生まれている。

 日本でも4月に入り、メルカリ、GMOインターネットグループ、エイベックスなどがNFT事業に続々と参入を表明。

 個人間商取引プラットフォーム『メルカリ』では人気の高いスニーカーなどの偽物が取引される問題も起きているが、NFTを活用すれば、偽物を排除し、安心して二次流通市場で売買できる環境を整えることができる。

 暗号資産事業を戦略的事業に位置付けるGMOは自社のブロックチェーン技術を活用し、アート作品や音楽の他、会員権やチケット流通での活用も視野に入れている。

 また、エイベックスは子会社でNFT事業基盤『A trust』を提供。IP(知的財産)所有者の著作権保護とデジタルコンテンツの流通を図る。すでに同基盤を使ったバーチャルフィギュアが『Shopify』で販売されている。

 NFT市場が盛り上がりを見せる中、注目されているのがスタートバーンだ。

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