2021-05-20

SBIが株取引手数料無料化 ネット証券は体力勝負に

北尾吉孝・SBIホールディングス社長

ネット証券会社の「手数料引き下げ競争」が再燃しつつある。口火を切ったのは、SBIホールディングス(北尾吉孝社長)傘下で、ネット証券最大手のSBI証券。

 2021年4月20日から25歳以下の顧客の国内現物株の手数料を全額キャッシュバックし、実質的に無料化。

 SBIは19年に3年で取引手数料をゼロにする「ネオ証券化」のロードマップを示して料金改定を進め、20年10月には1日あたり100万円までの取引手数料を無料化。今回はそれを前進させた形。

 無料化の原資はホールセール(法人向け業務)やトレーディングで得た収益で賄う。「売り上げに占める手数料の割合は年々下がっており」(SBIホールディングス関係者)、〝体力〟に自信を見せる。これを若年層獲得の機会にしていく。

 追随したのが松井証券と岡三オンライン証券。SBIと同じく、25歳以下の国内現物株取引の手数料を無料化。「25歳以下の顧客は全体の1%に満たず、収益への影響は限定的」(松井証券関係者)として、こちらも若年層獲得の手段として活用。

 SBIを追う楽天証券は足元で同様の無料化施策を発表していないが、1日当たり100万円までの取引手数料無料化はすでに導入済み。「楽天経済圏」の共通ポイントなどで利用者を引き付けている。ある業界関係者は「SBIはかなり楽天を意識しているのでは」と見る。

 マネックス証券は「ブローカーモデルからアセマネモデルに転換している最中」として、手数料競争とは距離を置く姿勢だが、SBIが手数料無料化を発表した翌21日、マネックスグループの株価は前日比5%安となった。ビットコインが下落したことに加え、市場は手数料競争が激化した時の業績への影響が大きいことを懸念した。

 体力勝負となった時にはSBIや楽天証券のように多様な収益が得られる企業の方が有利。まさに生き残りを懸けた戦いが始まったと言える。

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