2021-05-20

米国が中国企業「締め出し」へ それでも米国を目指す企業

中国企業は今も、米国での上場を目指すが…

「企業として成長を目指そうとすれば当然、米国での上場を目指すだろう。ただ、今後もそれが継続できるかは不透明」と指摘するのは、ニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの矢嶋康次氏。

 米国では2020年12月、米国の監査基準を3年連続で満たすことができなかった外国企業の上場を禁止する法案が成立した。中国企業を米国市場から締め出すことを念頭に置いた法律で、その企業が外国政府に実質的に所有・支配されていないかを証明する必要がある。

 足元で米国市場には200社超の中国企業が上場している。だが、中国企業は今のところ萎縮する気配を見せていない。ブルームバーグの報道によると、21年の中国本土及び香港企業の米国での新規上場は、足元で過去最高になっているという。

 中国企業は中国で上場しても自国政府の縛りがあることから、「本当に儲けたいと思う起業家は、規制があったとしても“アニマルスピリット”で米国を目指すのではないか」(矢嶋氏)と見られている。

 ただ、すでに米国で上場しているアリババ・グループや中国国営石油の中国石油天然ガスなどが、法律が求める基準を満たせないのではないかと見られており、中国企業にとっては上場廃止リスクが常につきまとう。

 米バイデン大統領は就任後の外交演説で「中国の経済的な虐待に立ち向かい、人権、知的財産権、グローバルガバナンスを巡る中国の攻撃に対抗する」と述べた。トランプ前大統領以上に対中国で人権のみならず経済面でも強硬姿勢を強めると見られており、中国企業に対する締付けは強まることが予想される。

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