2021-05-13

創業者の永守氏がCEO退任 権限委譲進める日本電産

永守 重信氏

「1~2年前からビジネスポートフォリオが大きく変化し、事業の中心が車載やモビリティに代わってきた。組織は出来る限りシンプルに、即断即決の体制でスピード感ある経営を続けていく必要がある。そういうことで決断した」(日本電産会長兼CEO・永守重信氏)

 日本電産は創業者の永守氏がCEOを退任し、社長の関潤氏が新CEOに就任する人事を発表した。CEOを関氏に譲ることで、経営の執行と結果の最終責任を負う体制へ移行するのが目的。

 永守氏は一代で同社を売上高2兆円に迫る世界的なモーターメーカーに成長させたカリスマ的存在なだけに、円滑に権限委譲が進むか注目される。

 これまでも日本電産には、シャープ元社長の片山幹雄氏(現副社長)や、車部品大手カルソニックカンセイ元社長の呉文精氏、関氏同様に日産自動車を経て日本電産に招聘された吉本浩之氏(現副社長)など、永守氏の後継候補は複数人いた。

 それでも、永守氏は「集団指導体制でやってきたが、あまりうまくいかなかった」と話し、前社長の吉本氏は就任からわずか2年で降格。それだけ永守氏が後継者にかけるハードルは高く、関氏も緊張感の伴う経営が求められるのは間違いない。

 あるアナリストは「これまで『ポスト永守』と呼ばれた人々は永守氏の眼鏡にかなわなかった。関氏は『合格』したわけだが、永守氏の後ろ楯があってこそ。これからが正念場」と指摘。

 永守氏は「わたしは創業者であり、筆頭株主であり、代表取締役会長でもあり、これからも経営に関わり続けるので、そんなに驚く話ではない。関はわたしより17歳若く、世界中を飛び回って活躍してくれるだろうから、わたしがやってきた時よりももっと良い会社に変わっていくことを願っている」と語る。

 果たして、関氏は日本電産最大の課題である「ポスト永守体制」を構築できるのか。同社が掲げる2030年の売上高10兆円を実現できるか左右する人事と言えそうだ。

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