2021-05-11

Box Japan 社長・古市 克典の「人生の転機」


 当社はクラウドを使ってコンテンツを管理する「コンテンツ・クラウド」を提供しています。例えば、企業が業務を進める上で必須となる文書や画像、動画などのコンテンツをクラウドでお預かりし、どのようなデバイスやアプリケーションとも連携することで、時間や物理的な場所にとらわれない多様な働き方ができる「デジタルワークプレイス」の整備を提唱しています。

 私の転機となったのは1998年、37歳でNTTを退社したことだと思います。NTTではシステムエンジニアや海外ビジネス開発、セールス、マーケティング、コーポレートプランニングなど、さまざまな役職を経験してきました。中でもロンドンのビジネススクールに留学して以降、“外”の世界を覗いたことで、もっと専門性を磨き、意思決定により深く関与したいと、ぼんやり転職を考えるようになりました。

 留学から帰ってきたのが31歳でしたから、結果的に転職するか否か6年も悩み、見るに見かねた妻から「一度転職しないと転職するか否かの悩みから開放されないと思うよ。転職したら? 」と背中を押され、やっと転職に踏み切った次第です。

 米国の会社やスタートアップ企業へ転職したのですが、自分の思い描いている世界とは違い、時にNTTを辞めたことを後悔したこともありました。しかし、ある時、NTTの先輩から「戻ってくるか」と声をかけられ、自分には帰る場所があるんだと思った(誤解でしたが)ことで心が落ち着きました。そこから本当に自分のやりたい仕事は何なのかを追求し、日本ベリサインの社長を経て、現在の仕事にたどり着きました。

 米Boxの日本法人である当社が設立されたのが2013年のこと。自分で日本法人の法人登記をしてオフィスを借り、人を採用していく。できあがった組織を束ねるのではなく、1から自分たちで組織を創り上げるという経験は、私にとって非常にやりがいがありました。そしてBoxのサービスを活用し、お客様との“共働”で新しい価値を生み出すことに大きな喜びを感じるようになりました。

 そこから7年半、顧客数は9千社を超え、日経225の50%以上に当社のサービスを使ってもらえるようになりました。今後もお客様のDXを後押しし、ビジネス価値向上に貢献できる会社として成長していきたいと考えています。

 私の周りで大企業から転職した人の中には、傍から見ると苦労している人もいます。でも、全員が自分の職業人生に腹落ちしてイキイキしています。自分の仕事を自分で決めた納得感のおかげかもしれません。

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