2021-05-03

ユニクロが業績を上方修正 一方でウイグル問題も浮上

「国内、グレーターチャイナのユニクロ事業が計画を上回る増益となったことで全体が大幅な増益となった」と語るのは、ファーストリテイリンググループ上席執行役員CFOの岡﨑健氏。

 ファーストリテイリングが中間決算(20年9月―21年2月期)を発表。売上収益1兆2028億円(前年同期比0・5%減)、営業利益1679億円(同22・9%増)となった。

 新型コロナの影響で北米や欧州の店舗では臨時休業を余儀なくされて大幅な減収となった一方、国内や中国でのユニクロ事業は好調でラウンジウエアやヒートテック毛布などの在宅需要が堅調。値引き販売を抑制したことで大幅な増益要因となった。

 ただでさえ、アパレル業界を取り巻く環境は厳しく、オンワードホールディングスやワールドは前期赤字、レナウンは破綻した。そんな中、ファーストリテイリングは通期(21年8月期)業績を上方修正。売上収益は従来予想から100億円増の2兆2100億円(同10・0%)、営業利益も従来予想から100億円増の2550億円(同70・7%増)となる。

 会長兼社長の柳井正氏は「世界を取り巻く環境はいかに変わろうと、グローバルに展開するしか生きる道はない。いろんな困難があるけど、困難をできない理由にしてはいけない。できるという希望を持って全員が頑張らないと生き残ることはできないと思う」と話している。

 一方、同社が気を揉むのが、中国・新疆ウイグル自治区の強制労働問題。米国やEUが少数民族ウイグル族への扱いが人権侵害にあたるとして対中政策を決めると中国政府は強制労働は虚偽だと反発。米ナイキやスウェーデンのへネス・アンド・マウリッツ(H&M)などが人権侵害を理由に新疆ウイグル産の綿花を使わないと表明するも中国国内で不買運動が広がっている。

 会見で柳井氏は「われわれは政治的には中立な立場でやっていきたい。ウイグルに関してはそれこそ政治的なことなのでノーコメント」と話すに留めた。

 ただ、会見の翌日、フランスでは人権団体がユニクロの仏法人や「ZARA」のスペイン・インディテックスなど4社を、強制労働や人道に対する罪の匿の疑いで仏当局に告発した。

 人権問題や米中摩擦などがある中で、成長市場である中国とどう向き合うか、同社にも大きな課題が突きつけられている。

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