2021-05-02

【新しい教育のカタチ】角川ドワンゴ学園の卒業生が早慶始め東大、京大、海外の有名大学に続々入学

「一体感」をテーマにリアル・オンラインで開催した『令和 2年度N 高等学校卒業式』。会場内にAR 映像の桜を 準備して、生徒のコメントに合わせて桜が成長する演出も

開校5年で日本一の高校に──。学校法人川ドワンゴ学園が設立した『N高等学校』が通信制高校の生徒数で国内1位に。卒業生は国内外の有名大学にも進学、フィギュアスケート日本代表の紀平梨花さんなど多様な人財を輩出して話題となっている。「引きこもりを自立できるようにする」という信念でスタートした学校が教育業界全体に影響を与える存在になっている。


偏差値30台から東大生まで

「普通の学校は偏差値で輪切りにされていますが、多種多様な生徒がいるのがN高の特徴。偏差値35くらいの子たちもたくさんいて、でもプログラミングが得意、スポーツが得意、起業をしたとか、偏差値以外の要素で強みを持っている生徒もいれば、強みのない生徒もいる。ある種、日本社会の縮図です。幼稚園からお受験している東大生が多い中、多様な社会を知っているN高の生徒が東大に入るということに、僕はすごく意味があると思っています」(川上量生・角川ドワンゴ学園理事)

 今年3月31日『N高』第3期生・4155名の卒業式が行われた。

 卒業生には東大、京大、早慶、英エジンバラ大、加トロント大など国内外の有名大学に進学する生徒もいれば、フィギュアスケート日本代表の紀平梨花さんなど一芸に秀でた生徒もいる。

 今年は新たに7304人の新入生が入学。

「将来やりたいことが決まっていないので、授業や部活を通して決めていきたい」という生徒や「12歳で起業して社長をしている。自分のやりたいことに集中したいと入学を決めた」生徒、「世界で活躍するプロサーファーを目指す」生徒など多様な人財が入学する。

『N高(N高等学校)』とは、学校法人角川ドワンゴ学園が2016年4月に開校したインターネットと通信制高校の制度を活用したネットの高校。

 15年10月に開催した会見で、川上氏は学校参入の思いを次のように語っている。

「引きこもりや不登校が社会問題になっているが、彼らが逃げているのはネットということも多い。『ニコ動(ニコニコ動画)』のユーザーだったり、角川のライトノベルに救われている人も多い。社会では落ちこぼれに見えても優れた能力を持っている人もいるだろうし、ネットの時代、彼らのほうが先端を行くかもしれない。コンピュータを使った最先端の教育を作り、大学進学、もしくは手に職をつけて就職できる学校を目指している」

 学校運営にはKADOKAWA グループの力を結集。参考書に強い中経出版が大学受験の教材を制作したり、N高の人気授業・プログラミングコースをドワンゴがサポート。またクリエイティブ人財を育成するバンタンを買収し、課外授業で専門スキルを身に付けられる環境を整備。

 角川のコンテンツ、ドワンゴの技術力、『ニコ動』のコミュニティづくりのノウハウを活かした〝ネット完結〟の高校としてスタートした。

 開校当時からレポートはネットで提出、生徒の声をリアルタイムで拾うシステムなど双方向性を活かしたオンライン授業を開始。コロナ禍の20年には、その教材を無料で開放。多くの人がN高の教材に触れる機会ができると、社会的評価が上がり、生徒数も拡大。

 開校時1482人でスタートしたN高は21年5月、1万8731人が通う生徒数日本一の通信制高校となっている。

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