2021-05-02

なぜ、ソフトバンクグループがPCR検査を始めたのか?【1回2000円の実費負担】

写真左から、国立国際医療研究センター国府台病院・青柳信嘉病院長、同センター病院・杉山温人病院長、SB新型コロナウイルス検査センター・池田昌人社長、ソフトバンクグループ・孫正義会長兼社長執行役員、国立国際医療研究センター・國土典宏理事長、同臨床研究センター・杉浦 亙センター長、同国際感染症センター・大曲 貴夫センター長

感染症の拡大防止には陽性者をいち早く見つけ、隔離することが重要。その切り札となるのがスクリーニング検査だ。ソフトバンクグループは2020年7月、100%子会社の新型コロナウイルス検査センター(21年1月SB新型コロナウイルス検査センターに社名変更)を設立。千葉県市川市と北海道札幌市の2拠点で1日約1万8000件の検査体制を構築したが、4月末には3拠点目となる「福岡PCR検査センター」を福岡市早良区に開設、2021年7月までに1日約3000件の検査ができる体制を目指している。東京都が公募した高齢者施設など、福祉施設の検査実施の協力事業者にも選定されるなど、自治体や法人、個人に向けて唾液PCR検査サービスを提供している。パンデミックにおける民間企業の役割をどう考えるか──。SB新型コロナウイルス検査センター社長・池田昌人氏に聞いた。


3月の発表時は批判が殺到

 ─ ソフトバンクグループがPCR検査を始めた経緯を聞かせて下さい。

 池田 はい。日本でも、2020年2月上旬からクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号での感染が騒がれるようになりました。弊社グループ代表の孫正義は、その頃から直観的に危ないぞと感じ、「どうにかソフトバンクグループの中で検査を実現する方法はないか」と話をするようになりました。

 その後、実際にPCR検査を提供する方向が決まったのは、3月11日、孫がツイッターで「新型コロナウイルスに不安のある方に、簡易PCR検査の機会を無償で提供したい」と発信した頃からです。

 ただ、想像以上にネガティブな意見が強く、孫自身も「この状態だったら国民の理解を得られない。役に立つはずのものが混乱を生むだけだとするならば、別の手を考えよう」と、まず2種類の抗体検査キットを100万人分ずつ、合計200万キット仕入れる手配をして、多くの医療機関や関係者の皆さんに、医療行為とは別に研究用途として提供することから始めました。

 約1カ月で全国で約4万件の検査をし、6月に旧本社25階で国立国際医療研究センターの先生方と抗体検査結果を発表しました。

 ─ 国立国際医療研究センターとのつながりは?

 池田 当社の産業医が自分の過去の人脈も含めて「感染予防のお役に立つのであればいろいろな方に相談してみます」と言って下さり、その中に国立国際さんがあり、お声を掛けさせていただいたところ、統計学的に実態を把握することに強く共感していただきました。

 発表の2週間程前に初めてコンタクトをして、これまでの経緯、われわれが取り組む意義、ゆくゆくはPCR検査をしたいことをお話したところ、「全面的にやれることを協力しましょう」との合意をいただきました。

 5月下旬から6月初旬に国立国際の先生方にお会いして、7月に会社を設立。9月24日の東京PCR検査センター開設まで約3カ月ちょっとかかりました。

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