2021-04-26

【楽天の通信参入1年】通信業界はどう変わったか?

三木谷浩史・楽天グループ会長兼社長

自社回線による通信事業に参入して1年が経過した楽天モバイル。後発での参入とあって、楽天の売りは最安値。さらに最初の1年は「1年間無料」など破格のサービスを実施。だが、NTTドコモが昨年末、20GB=1980円のプランを発表。楽天は、更なるプラン値下げが必要となった。

 これを受けて、今年1月に発表した料金プラン『楽天アンリミットⅥ』は「1GBまでは0円、3GBまでは980円、これでも他社さんと比べて相当競争力があるが、20GBは1980円、無制限に使いたい場合でもマックス2980円。もちろん5Gも入って、追加料金はなし」(三木谷浩史・楽天グループ会長兼社長)というもの。

 NTTドコモの『ahamo』やKDDIの『povo』など大容量低価格プランはネット専用申込みなのに対し、楽天は「インターネットを使える人は安くて、使えない人は店頭に行って高い料金になるのはおかしい。店頭だろうがネットだろうが、ワンプライスで平等に提供させていただく。われわれは携帯の民主化を目指しているので手数料も0円」(三木谷氏)を謳い、1年間無料の締切も相まって契約申込数を390万まで伸ばした。

 順調に契約者数は伸ばしている楽天だが、通信事業参入による財務負担は大きい。設備投資額は当初予定の6000億円から3~4割上振れする見通しで、日本郵政、中国・テンセント、米ウォルマートへの第三者割当増資で総額2423億円を調達した。

 楽天の強みは楽天のサービスで構築される“楽天経済圏”。
「世界のモバイル会社はモバイルだけでは儲からないため、(eコマースなどの)周辺分野に入っている。うちは周辺部分は完璧。楽天経済圏にいる人は、楽天のサービスをより使ってくれる」と三木谷氏は自信を見せる。

 また「楽天の通信事業は三次元事業。楽天モバイル、楽天エコシステムのシナジー、そしてRCP(新たな通信プラットフォームを外部に提供するRakuten Communications Platform)。この3つでビジネスモデルは成り立っている」と語る。

 料金値下げは楽天参入よりも、NTTドコモの値下げが効いた形だが、ネットワークの仮想化など、既存3社と異なる技術の活用やビジネスモデルは通信業界の活性化につながったといえそうだ。

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