2021-05-11

日本郵船 ・長澤仁志の「打たれても出る杭になれ!」

長澤仁志・日本郵船社長



 打たれても出る杭になれ──と、長澤氏は社内を叱咤激励。

「うちの会社は非常に古い会社なわけです。設立から136年。言ってみれば古臭いカビみたいなものがあちこちに染みついている部分もあるんですよ。僕自身は役員もさせていただき、いろいろな機会でそういうものを何とか払拭しようと声をあげて言ってきたこともあったんです。なかなか総意が得られなくてですね。全てがだめだったんですが、社長となるとですね、いろいろな事を変えられるかなと思いましたね」

 長澤氏はそれまでの経営役員を執行役員(全員で25人)という名称に切り換え、活発な議論を促している。「完全に形骸化していた。一部ですでに合意ができていることに他ならない」ということでの改革。

 経営会議は、会長、社長にプラス7本部長の9人で構成。ここでも例えば投資案件について、各メンバーは必ず、『YES』か『NO』を発言することになっている。

 意見が拮抗すれば、差し戻して、もう一回審議する。とにかく「審議が深みのあるものにしていく」という考え。

 社員数は世界で約5万6000人、運航する船は700隻以上。そのグローバル全体に対し、「進むべき方向性をしっかりメッセージで伝えていくのが社長の仕事だと思っています」と長澤氏。

 長澤氏は大学時代ラグビーに打ち込み、そして入社後も同好会で親しんできた。

 座右の銘は何か? と聞くと、すかさず「One for All, All forOne. ですよ」というラグビー精神の言葉が返ってきた。

 1人はチーム全体のために、全体は1人のためにという『個と全体』の調和性のある関係で変革の時を生き抜くという生き方だ。全員経営の実践である。

本誌主幹・村田博文

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