2021-04-27

日米同盟を基本軸に米中にも直言できる外交関係の構築を

イラスト:山田紳



 日本の曖昧な姿勢は対ミャンマーでも目立つ。治安部隊によるデモ鎮圧が連日続き、1日で100人以上が犠牲になったこともあった。そんなミャンマーに対し、米国、EU、英国などは国軍関係者の資産凍結や軍関連企業との取引停止といった制裁を発動した。ここでもG7の中で日本以外が足並みをそろえた。

 同じアジアの国として欧米とは立ち位置が異なるのも事実だ。アジアで「最後のフロンティア」と称されるミャンマーには、2011年の民政移管に伴い、多くの日本企業が進出した。

 JETRO(日本貿易振興機構)によると、今年1月時点で436社に上り、10年間で8倍となった。19年度の日本の対ミャンマーの政府開発援助(ODA)の実績は1893億円で、先進国では最大の支援国だ。大規模なインフラ整備など様々な形で民主化を後押ししてきた。

 ただ、対ミャンマーのODAは、同国最大の貿易相手国である中国が詳細な支援額を公表していない。日本政府は新規ODAの停止という形で「制裁」を検討しており、ミャンマーに打撃となるに違いないが、これに伴いミャンマーが中国との関係をますます強める懸念はある。

 外相の茂木敏充は4月2日の衆院外務委員会で「他国が制裁したから自分もやろうというのは生産的でない」と述べ、制裁よりも説得を優先する考えを示した。ミャンマーの中国接近を警戒しての発言だが、説得に成算はなく、その間も国軍の弾圧は続く。

 経済関係が重要であることは論をまたない。しかし、それと同じか、それ以上に人権問題が重要だとの立場をとる欧米と日本の差は明瞭だ。

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