2021-04-19

日本病院会・相澤孝夫会長が語る”なぜ「松本モデル」が成功したか?”

相澤孝夫・日本病院会会長(相澤病院最高経営責任者)



 ─ 日頃からの連携ですね。

 相澤 そうですね。突然やろうとしても難しいでしょうね。最初は救急医療を何とか地域で完結させるにはどうすべきかから始まって、医師会長や大学、各病院、保健所もメンバーに加わり、3市5村の首長にも参加していただくようになりました。

 そして、救急医療検討委員会、災害医療検討委員会、ドクターヘリに関する委員会などを開いて討論し、最後に大本の会議で了承する。これを毎年続けていきました。自治体も大学も、病院も医師会も皆が一緒になって考え、準備を進めてきたことは大きいと思いますね。

 ─ 地域医療のあるべき姿の1つと言えるでしょうね。

 相澤 個人的には人口50万~ 60万人を1つの医療圏にして重篤な疾患を治療する病院が2つくらいあればいいのではないでしょうか。例えば、松本地域では信州大学医学部附属病院と私どもの相澤病院が担っています。それを支える2次救急では曜日ごとに2次救急をやる病院を決め、整形外科が強い病院や外科が強い病院、内科が強い病院など、特徴に合わせて補完してもらうようにしています。

 ─ 双方向でいつも協力しているということが強みだと。

 相澤 そうですね。救急の患者さんも相澤病院から信大に紹介したり、信大から頼まれたりします。相澤病院に来た救急の患者さんの話を聞いて、主治医が他の病院だったり、今はそんなに重症ではないけれども、入院は必要だという患者さんの場合は、私たちの病院から私たちの病院の救急車を使って、そちらの病院に逆搬送することなども頻繁に行っています。

 ─ コーディネーターとしての役割を果たしていますね。

 相澤 ええ。長い年月をかけて役割分担をしてきたのです。ですから、もうそれが当たり前になっています。自分のところで全部抱えようとはしません。大きな病院が1つあって、それが全部を仕切ってしまっていたら、今の松本モデルにはなっていなかったと思います。

 病院も大きな病院から中規模、小規模の病院があるわけです。そういう病院が、各々の持ち分の中で病院機能と自分たちができることをきちんと踏まえた上で、各々の機能を担って、お互いに足りないところを補完する。それが持続可能な医療の形ではないでしょうか。

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