2021-04-16

デジタル化やカーボンニュートラルなど 政策の中身と実行力が問われる菅政権

イラスト:山田紳



 唯一、見通せないのが新型コロナの感染状況だ。首相官邸関係者は「コロナの感染者数次第だ。4月末に解散したいと思っていたとしても、感染者数が多ければできない」と語る。

 衆院選の次のタイミングとして考えられるのは、7月4日投開票の東京都議選とのダブルだろう。公明党はダブルに反対と言われているが、果たしてどうか。政治状況次第でダブルになる可能性は十分にある。

 7月には東京オリンピックが始まり、8月にはパラリンピックが始まる。パラリンピックが終わるのは9月5日で、この間に衆院選を断行するのはほぼ不可能だろう。

 ここまでくると問題になるのは、自民党総裁の任期満了である9月30 日が目前に迫ってきているという点だ。菅からすれば、自民党総裁選の前に衆院選をやりたいと考えているだろう。総裁選を先にやるとなると、人気が出そうな新総裁に変えて衆院選に臨みたいという議員心理が必ず出てくるためだ。どの顔で選挙を戦うかは、自民党議員にとっては死活問題で、このときに支持率が低迷していれば、菅は総裁選で首をすげ替えられかねない。こうした事態は菅にとっては避けたいだろう。

 最近の地方選挙を見ると、自民党分裂が相次いでいることも気になる。岐阜県知事選は分裂したまま選挙となり、しこりを残した。千葉県知事選は自民党分裂とは言い切れないが、無所属の新人に大敗する失態を演じた。福岡県知事選は分裂を回避したが、兵庫県知事選は分裂が必至の様相となっている。

 自民党の政党支持率は横ばいで安定しているものの、地方での自民党分裂騒動は何を意味するのか。こうした動きが衆院選に影響を与えるのか。地方で起きつつある地殻変動なのか……。党中央としては不安材料であることは間違いない。

 一方、野党はまだまとまり切れずにいる。原因の一つは、連合の共産党嫌いだろう。立憲民主党の保守系政治家たちが共産党との連携に前向きなのに対して、連合の共産嫌いは55年体制をそのまま引きずっているように映る。共産党との関係を建設的な方向にもっていけなければ、与党を利するという構図は変わらない。与野党共に問題を抱えて、政治の季節に突入していく。 (敬称略)

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