2021-04-15

【財務省】コロナ禍で財政支出が増大 歳出改革はなお厳しく

財務相の諮問機関である財政制度等審議会は3月18日の分科会で、2021年度予算案について「財政健全化を図るため中長期の計画を立てることが重要だ」など、委員から財政規律へ配慮を求める声が出た。新型コロナウイルスの感染対策に伴う歳出増が背景にある。

 ただ、緊急事態宣言解除後、全国各地で感染者数が増加基調に転じており、感染防止策や景気対策のための支出は続く見通しで、歳出改革の道のりは厳しさを増す。

 麻生太郎財務相は23日の会見では「コロナ対応の結果、足元の財政が悪化しているのは事実」と指摘した上で、増税に関し「今直ちには考えていない」と明言した。「財政の持続性の確保は非常に重要な課題。将来世代への責任を念頭に、幅広い視点で十分に検討する必要がある」とも語った。

 政府の裁量で機動的な支出が可能な予備費は新型コロナ対策の切り札といわれるが、一方で、国会審議を経ずに巨額計上できるため放漫財政を招きやすい。政府は23日、20年度新型コロナ対策の予備費から約9兆1400億円の支出を決め、予算枠の消化は95%に達した。使途は営業時間の短縮要請に応じた飲食店向けの協力金に計3兆円超や中小企業向けの持続化給付金や病床確保など、政府は新型コロナ対策に万全を期す考えだ。

 新型コロナの収束は見通せない中、「奇策以外にPB(基礎的財政収支)黒字化は不可能」(財務省幹部)なのは今や霞が関・永田町の“常識”。例えば、低所得の子育て世帯向け給付金は還付免除を適用されるケースが多く、政府内から「単なるバラマキ」(同省)と呆れの声が出ている。“コロナバブル”で巨額の公的債務のツケを次世代を回す財政運営に区切りをつけることができなければ、麻生氏の政治責任も厳しく問われることになる。

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