2021-04-14

【国土交通省】五輪は海外客の受入断念 日本の観光地発信に意欲

今夏の東京五輪・パラリンピックで、大会組織委員会や東京都、政府、国際オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会は3月、海外からの一般客の受け入れを断念すると決定した。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、自由な入国を保証するのは難しいと判断。大会の安全な開催を優先した形だ。

 訪日外国人観光客(インバウンド)の増加は政府肝煎り。政府は当初、五輪をインバウンド回復のきっかけとする考えだった。というのも、2020年の訪日客数は日本政府観光局の推計で前年比87・1%減の411万5900人と低迷。五輪需要を当て込んで政府が掲げた20年に4千万人へ増やすという目標の1割程度にとどまった。

 現在、変異ウイルスの感染拡大が深刻化。五輪開催を懸念する声も強くあり、「世論は無視できない」(組織委幹部)と海外一般客の受け入れを諦めざるを得なかった。自民党中堅は「観光業者は延期の1年を我慢すればインバウンドが戻ってくると思って経営が苦しくても耐えてきた。ただでさえ青息吐息なのに今回の断念がダメ押しになりかねない」と懸念する。

 海外一般客の受け入れを諦める代わり、政府はメディアや最先端技術を通じ、日本の観光地の魅力を発信する事業に力を入れる。別の政府関係者は「中長期的な観光戦略への悪影響を少なくしたい」と説明する。

 ただ、先の自民党中堅は「感染収束後にインバウンドがいざ戻ってきたとき、肝心のホテルや旅館がつぶれていました、ということにならなければいいが……」とこぼしていた。

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