2021-04-11

【株価はどう動く?】相場の波動には「人間心理」が表れる バイデン政権のリスクに注意

江戸時代から現在まで変わらないもの


 2021年3月下旬にかけて、日経平均株価は予想通り下落、調整しました。相場を読むにあたって重要なのは、本連載で繰り返しご説明している「波動」です。

「材料」で株価を判断していると後追いになります。例えば「金利が上がったから株価が下がった」といわれますが、これは事が起きた後に解説しているだけです。波動で見れば、金利の上昇に関係なく、2月、3月は要注意でした。

 コロナショックによる底値が20年3月19日でしたから、そこから12、ないし13カ月というのが「酒田五法」でいう「日柄」です。3月の動きは相場の波動通りの調整局面なのです。米金利の上昇、日本銀行がETF(上場投資信託)の購入目安を削除したという材料は後付の解説に過ぎません。日々出てくる情報からでは、相場の先は読めないということです。

 相場の波動、チャートには「人間心理」が表れています。チャートについて勉強した人には知識はあるかもしれませんが、それだけでは、多くの場合実戦で活用できません。チャートに表れている人間心理を自分なりに昇華して相場を予測するというのが大事になります。

 江戸時代の米相場から今日の株式相場に至るまで、相場の波動に人間心理が表れるというのは変わっていません。市場の参加者がどんな時に恐怖心を感じて売るか、楽観的になって買うかといった心理は、いつの時代も同じです。

 波動には価格と時間とがありますが、先を読む上でより重要なのは時間です。今回の相場の中長期サイクルの出発点は、コロナショックの底値を付けた3月19日です。そこから12ないし13カ月というのが日柄です。調整局面に入った21年の2月、3月が、その日柄にピッタリです。

 なので、日柄から見て、この調整局面が終われば株価は上がります。日銀がETFの買い入れを減らしたり、米金利が上昇しても株価は上昇します。なぜなら世界的金融緩和は継続し、各国は史上まれに見るレベルの景気対策を行っているからです。

 短期のサイクルで見ると、20年10月30日の安値から始まった「バイデン相場」があります。短期の相場は2ないし3カ月続きますから、1月末くらいまでが“賞味期限”でしたが、実際には2月16日に3万714円という高値を付けています。

 2月16日に3万714円が一番天井でしたが、この後には大きく下がらず、安値は3月5日の2万8308円でした。価格の波動では二番天井の後に大きく下がりますが、今回は3月18日に3万485円で二番天井を打ちましたから、本格的な下落が待っている可能性があり、要注意です。

 日柄から見て、いつまで調整するかというと「3月またがり60日」で見ると、一番天井の2月16日からであれば4月16日、二番天井の3月18日からであれば5月18日あたりまでで終わります。私は4月16日頃までに一旦株価は戻ると見ています。本格的な上昇相場が始まるかどうかについては、もう少し様子を見る必要があります。

 前述の「バイデン相場」の調整の場合、3分の1押しならば、一番天井の後の安値、2万8308円の近辺で止まります。半値押しは2万6831円で、2万7000円割れの可能性があるということです。

 半値押しまで下がるということになると、20年12月26日に2万6361円という安値に対するダブルボトムになります。

 前回指摘したように、バイデン政権誕生の「ユーフォリア」(陶酔感)が終わり、日経平均株価は二番天井を打ち、下落調整局面に入っています。早ければ4月中旬からは立ち直りますが、その時にはコロナ感染が今より下火になり、東京五輪の開催が改めて宣言されるなどが必要で、逆に感染が拡大しているようであれば調整が長引きます。

 調整が5月中旬まで長引いた場合、その時に株価が上昇するための材料は衆議院の解散総選挙ではないかと見ています。

バイデン政権の「理想主義」の怖さ


 一方、米国株の動きは今なお強く、3月18日に3万3227㌦という新高値を付けたにも関わらず、その後、それほど下落していません。当然ながら、バイデン政権の200兆円規模の景気対策と、そこに100兆円追加するという姿勢を示していることによるものです。

 FRB(米連邦準備制度理事会)も金融緩和を継続するとしており、ニューヨークダウは今のところ上昇を続けると見ていますが、次第に上値が重くなる展開が予想されます。なぜなら今後、ニューヨーク株高を牽引してきた巨大IT企業や「ロビンフッダー」に対する規制、法人税増税の動きなどが出てくる可能性があるからです。それが現実になると、ニューヨークダウは天井を付けて急落、場合によっては大暴落もあり得ます。

 足元の米中対立の激化もマイナス材料です。トランプ政権からバイデン政権に変わったことによる最大のリスクとなります。トランプ政権下でも対立はありましたが、トランプ大統領はビジネスマンですから、対立以上に利益を重視していたため、妥協点がありました。

 しかしバイデン政権はビジネスではなく、人権など理想を掲げていますから、妥協点はありません。これは中国だけでなくロシアにも同様の姿勢です。

 ですからバイデン政権では地政学リスクで株価が急落する可能性があります。トランプ政権時には「米国第一主義」で世界が緊張しているように見えていましたが、トランプ大統領は常に妥協点を探っていました。バイデン政権の理想主義には危うさがあるということに注意を払う必要があります。

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