2021-04-06

三菱UFJ銀行頭取・半沢淳一の覚悟「国内収益基盤強化に取り組む」

半沢淳一・三菱UFJ銀行頭取

課題解決に向けグループ総合力を活用


「健全な危機感は持ってもらいたいし、今の延長線上で仕事をしていれば暗くなるが、デジタルなどを活用し、我々の働き方さえ変えれば、新しい未来はしっかり描ける」と社内に訴えるのは、4月1日付で三菱UFJ銀行頭取に就いた半沢淳一氏。

 マイナス金利の長期化など、銀行を取り巻く環境は厳しい。その中で半沢氏は「国内収益基盤の徹底的な強化」、「グローバル事業の強靭化」、「環境社会課題の解決へのさらなる貢献」という3つの重点テーマを掲げ、状況を打破しようとしている。

 最初の国内収益基盤の強化は大きな課題。特にデジタル化の進展で、この5年間で店舗への来店客数が半減している一方、オンラインサービスの利用は2・5倍となっている。

 そのためデジタルを活用し、顧客に使い勝手のいいサービスを実現するビジネスモデルの構築と同時に、業務プロセスを効率化し、損益分岐点を引き下げる「二兎を追う」必要がある。

 また、グローバル事業の強靱化については、インドネシアの中堅銀行であるバンクダナモンへの出資比率を段階的に引き上げてきたが、19年に連結子会社化。MUFGユニオンバンク(アメリカ)、クルンシィ(アユタヤ銀行・タイ)などとの連携で進めてきた「パートナーバンク」の拡大には目途を付けた形。

「今後はこれをいかに強く、収益化していくかということで『量から質へ』と転換した取り組みにしていきたい」(半沢氏)

 環境社会課題への貢献は、今「脱炭素」が産業構造の転換を迫る社会的大テーマとなっており、これを金融の立場で支援していくことが重要。

 これらの課題解決に向けて半沢氏は「私は銀行のトップだが、グループの総合力を活用していくことが重要だという問題意識を持っている」と話す。その観点で、東京・丸の内の三菱UFJ銀行本店を建て替え、持ち株会社・銀行・信託・証券が一堂に会する拠点にする計画を持つ。

 これまで、グループの様々な重要課題に向き合ってきた半沢氏。今後はスピード感を持って変化に対応できるかが問われることになる。

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