2021-04-01

オフィス空室率は上昇、住宅価格は上昇と二極化 混沌とする不動産市場の行方

都心5区の空室率は軒並み上昇


 不動産市場では悪材料と好材料が同居する二極化が進む。

 2021年3月11日、オフィスビル仲介大手の三鬼商事が発表した、2月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率は5・24%となった。1年前の2月は1・49%だった。このことは何を意味するのか。

 一つには、コロナ禍で人々の働き方が変わってきたことがある。オフィスに通勤するだけでなく、テレワークやサテライトオフィスで働くことも選択肢となった。

 都心5区の中でも、渋谷区は5・55%、港区が6・88%と高く、IT企業など、テレワークがしやすい業種が集積する地域の上昇が目立つ。逆に、千代田区は3・85%となっており製造業を中心とした大企業が長期でオフィスを賃借していることが影響していると見られる。ただ、そうした大企業も20年後半あたりから徐々に減床、縮小移転の動きを見せ始めている。

 一方、マンション市場では都心物件は引き続き好調。三井不動産レジデンシャルが手掛ける中央区勝どきや、千代田区番町の物件はモデルルームの予約が取れないほどの人気となった。だが、郊外で駅への距離が遠い物件などは、竣工後も販売が続くなど低調なものもある。コロナ禍で、通勤利便性がより求められるようになった表れ。

 このような状況下、三井不動産会長の岩沙弘道氏は「今後は個人が自分のライフスタイルや担っている仕事によって、働き場所や働き方を選択するようになります。我々はその選択に十二分に対応できる場を提供していきます。しかもハードだけではなく、価値創造に貢献できるサービスをテクノロジーを活用して充実させる」と話す。

 不動産会社も、新たな時代を見据えた開発、テクノロジーの活用に取り組み始めている。

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