2021-04-01

帝国ホテルが建て替えへ 日比谷一帯で大規模再開発

帝国ホテルが旗艦ホテルの「帝国ホテル東京」を建て替える方針を固めた。同ホテルは十字型に客室を配した本館とショッピングアーケードやオフィスフロアがあるタワー館で構成されているが、本館は完成から50年を超え、タワー館も40年近く経過し、老朽化が進んでいた。

 以前から同社首脳は「今の施設でも耐震性の面でも20~30年は大丈夫だが、コロナの後も近隣のホテルや外資系のホテルとの間で競争は続く。次のステップとしてハードウエアを変えることは重要だ」と語っている。

 既に帝国ホテルを含めた「ホテル御三家」のうち、「ホテルオークラ東京」が2019年に「The Okura Tokyo(ジ・オークラ・トーキョー)」として建て替え開業をしており、近隣でも12年にパレスホテル東京」が、19年に「東京會舘」が建て替えを済ませている。

 他にも帝国ホテルがある日比谷近隣の大手町・丸の内・有楽町界隈では複合大規模再開発に付随して外資系の高級ホテルが進出を計画するなど、コロナ収束後に回復が見込まれる訪日客需要の獲得競争がホテル業界にとっては大きなポイントになる。

 建て替えに当たっては、07年に国際興業から帝国ホテルの発行済み株式を買い取り、現在3割強を保有している筆頭株主・三井不動産が周辺の内幸町地区を再開発する計画で、地域一帯の価値を高める狙いだ。

 三井不動産は18年に旧三信ビルディング跡地に「東京ミッドタウン日比谷」を開業。「日比谷仲通り」は、かつてクルマが走っていた通りだが、今では歩行者専用道路となり、散策する女性などがそのまま帝国ホテルに立ち寄るケースも増えていた。

 さらに三井不動産は帝国ホテル隣の「日比谷U-1ビル(旧大和生命ビル)」も取得している。エリアの核となる帝国ホテルの建て替えは「日比谷が生まれ変わる象徴にもなる」(関係者)

 前出の帝国ホテル首脳は「傍には日比谷公園や皇居、ビジネス街や官庁にも近く、銀座という商業の街も傍にある一等地」と強調する。ただ、足元の稼働率は1割程度と本業は厳しい。その中で帝国ホテルが日比谷の新たな顔になれるかが勝負だ。

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