2021-03-30

コロナ禍で急成長【ラクーンHD小方氏の「人生の転機」】シンガポールのエンジェル投資家・コー氏との出会い

右から2番目がコー氏、一番左が小方さん(1999年)

コロナ禍で一気に進むデジタルトランスフォーメーション(DX)。その中で、問屋のDXで事業が急拡大、株価も急上昇しているラクーンホールディングス。社長の小方氏の語る「人生の転機」とはーー。

 1995年に貿易商で起業しました。貿易商は“中間流通業”。日本の流通の様々な課題を実感し、この課題をITで解決しようと、98年に日本初といえるBtoBの卸・仕入サイト『オンライン激安問屋』を開始しました。

 日本の流通は、近江商人の三方良しのビジネスがルーツ。情報、物流、決済を1つにまとめた問屋という独特のスタイルで進化を遂げてきました。

 そこで近江商人のビジネスをヒントにサービスを拡充。現在、ECの『スーパーデリバリー』とフィンテックの企業間後払い決済『ペイド』などを中心に7つのサービスを展開。全サービスで最高益を更新しています。

 2006年にマザーズに上場し、現在、東証1部上場の企業になりましたが、創業当時はアイディアを話しても相手にされないことが多々ありました。

 そんなときに出会ったのが、1999年、当時シンガポール・テレコム会長を務めていたコー・ブーン・フィー氏です。

 コー氏は、その後、DBS会長なども歴任したシンガポールを代表するエンジェル投資家です。

 当時、コー氏は部下に「日本のB2B企業を探してほしい」と伝えていたようで、その任務を受けた部下からわたしに連絡があり、まずは渋谷で会い、その後、シンガポールにいるコー氏と会うことになりました。

 中国に留学していた経験があったので、中国語でプレゼンすると、コー氏は30分ほどで「OK、いくらほしい? 」と出資が決まりました。

 帰国後、日本のベンチャーキャピタルにその話をすると、すぐに出資が決まりました。 コー氏は30分のプレゼンの間、「その業界にどれだけ精通している人物か」「市場は大きいか」「コンペティターの有無」などを見ていたようでした。

 それまでは日本でいくら事業のアイディアを話しても、理解してくれる人がいなかったのですが、コー氏はすぐに事業の価値を見抜いてくれました。そして翌2000年に第一号社員を雇い、第二創業期へと踏み出したのです。

 投資後、オフィスにも来てくれたのですが「こんな会社に投資をしたのか」とオフィスの小ささに驚いていましたが、IPOによって、コー氏には恩を返すことができました。

 これからもこの縁を大切に、「企業活動を効率化し、便利に」していきたいと思っています。

コロナ禍で好調な電子コミック

小方 功・ラクーンホールディングス社長

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