2021-03-27

次期防衛大学校校長に久保文明・東大大学院教授が決定

久保文明・防衛大学校次期校長

政府は3月12日、3月末で退任する防衛大学校校長の國分良成氏の後任に東京大学大学院教授の久保文明氏を充てる人事を閣議決定した。4月1日就任。

 アメリカ政治史が専門。1956年東京都出身。79年東京大学法学部卒業。ジョンズ・ホプキンス大学客員研究員、慶應義塾大学教授などを経て、2003年から東京大学大学院教授を務める。

 3月上旬に本誌のインタビューに応じている。

 バイデン大統領の政権運営について、先ごろ議会で成立した1・9兆㌦規模の経済対策法案を例にとって解説。「共和党との超党派的な共有をするのではなく、民主党の票だけを固めている。新型肺炎とは関係ない民主党支持層に対する支援も相当入っていて、共和党に対する配慮はそれほど見られない」と語り、分断の修復にはほど遠いとの見方を示した。

 上院では1人でも反対者が出ると法案が成立しないため、「民主党内の保守派と左派の妥協があった」とし、上下両院で多数を占めたとはいえ、議会運営には神経を使うだろうという。

 バイデン政権の対中政策について「政策を担う人という意味ではオバマ政権との連続性が強い。バイデン大統領自身がそうだし、ブリンケン氏やジェイク・サリバン氏もオバマ政権を支えた人たちです」と陣容面ではオバマ政権を継承するが、政策面ではそうではないと分析した。「ブリンケン国務長官が、トランプ政権の対中政策は基本的には正しいものだったと語っています」とその論拠の一例を挙げ、「対中政策ではトランプ政権との連続性の方が強い気がします」と語った。

 その理由として「中国の変化とそれを受けたアメリカの中国観の変化」を挙げる。「軍事力や技術力を、力ずくで現状変更するために使おうとしている」現状を指摘し、香港や南シナ海での行動は周辺に脅威を与えていると強調した。

 台湾と尖閣諸島の一体性にも触れ、「日本は尖閣のことはよく考えるが台湾についてはあまり考えていない」と問題提起。台湾をめぐる米中の緊張が高まった場合、いずれ日本が、部分的に行使できる集団的自衛権を考えざるを得なくなるだろうと語った。

 日本周辺での緊張が増す中、日本はどういう安保政策を打ち出し、遂行していくのか。〝制服組〟の人材育成を担う久保氏の手腕が問われることになる。

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