2021-04-02

孫正義氏と投資目線合わず?ソフトバンクG・佐護副社長が退任

孫正義・ソフトバンクグループ会長兼社長

ソフトバンクグループ(SBG)の佐護勝紀副社長が3月末で退任する。ゴールドマン・サックス(GS)証券とゆうちょ銀行でナンバー2を歴任し、2018年に投資事業を統括する最高戦略責任者(CSO)としてSBGに「鳴り物入り」で迎え入れられた人物だ。

 関係筋によると、GSで副社長まで務めた佐護氏はすでに金銭的には満たされたこともあってか、「自らの投資経験を社会の発展に活かしたい」との思いは強かったという。その佐護氏に対し、孫氏は「日本や世界のAI革命を主導する」と、SBG入りを促したという。

 だが、中東のオイルマネーを引き込んで10兆円ファンドを組成したSBGは投資会社化に邁進した。さらに、コロナショック以降は米GAFAなど上場有力株のオプション投資にも乗り出すなど収益優先の投資方針が鮮明になり、市場では「ヘッジファンド化」も指摘される。

 これらの投資方針は14年にSBG入りした副社長のラジーブ・ミスラ氏や、17年SBGに転じて孫氏の投資戦略アドバイザーとなったアクシェイ・ナヘタ氏ら旧ドイツ銀行出身者が主導している。ナヘタ氏は弱冠40歳だが、昨秋の英半導体設計大手、アーム社の米半導体大手、エヌビディアへの売却で陣頭指揮を任されたほど「孫氏から信頼されている」(幹部)という。そんな中で佐護氏の居場所は徐々になくなっていったとの見方もある。

「SBGの最大の経営リスク」とされる孫氏の後継者を巡っては、巨額報酬で米グーグルから引き抜いたニケシュ・アローラ氏が16年にわずか2年で退任。それ以降、本命不在の状態で、佐護氏とミスラ氏、米携帯大手スプリント社長を経て17年にSBG入りしたマルセロ・クラウレ氏の3人が後継レースを競うとみられてきた。

 今回の佐護氏の退任でポスト孫は外国人2氏に絞られるのか。それとも「最若手の側近」であるナヘタ氏の抜擢も含めて「第三の男」が浮上するのか。投資家の関心が一層高まりそうだ。

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