2021-03-28

【財務省】2021年度予算が成立へ、コロナ対応の減税措置は否定

2021年度予算案が衆院本会議で与党などの賛成多数で可決し、憲法の衆院優越規定により今年度内の成立が確実になった。一般会計総額106兆6097億円で過去最大となった同予算の狙いについて、麻生太郎財務相は3月2日、雇用調整助成金の特例措置や、緊急事態宣言に伴う休業補償などを踏まえ「今回は新型コロナウイルス感染対策が一番、優先順位が高い。感染状況に応じた迅速な対応が重要で、成立後に直ちに執行する方向に持っていきたい」と強調した。

 一方、麻生氏は8日の参院予算委員会で、新型コロナによる経済低迷を受けて海外では景気対策として減税措置を行う国が増えている現状を念頭に消費税減税の可能性について聞かれると「消費税率を引き下げるという状況にはない」と明言した。

 その理由について、「欧州の付加価値税は税率が日本より高い」と述べ、日本の消費税率10%は主要国に比べ低い水準だと指摘。「英国やドイツは日本みたいに全国民一律10万円の現金給付はやっていない」とも述べ、日本の新型コロナ対策は諸外国と比べ遜色ないとの考えを示した。財政規律の観点から「日本は少子高齢化が急激に進み、このままいくと生産年齢人口は激減する。社会保障費は国家予算の30%を占め、どう考えても費用を公平に皆で負担しない限り(財政は)とても持たない」とも語った。

 新型コロナの感染長期化で、麻生氏は新たな試練に直面するかもしれない。新型コロナの感染者数は減少ペースが鈍化している上、感染力が強いといわれる変異株が日本でも広がっており、21日に緊急事態宣言を全面解除しても感染収束は難しそうだ。景気のV字回復が遠のけば税収増も見込めず「消費税率の引き上げは想定より早まるかもしれない」(財務省主計局)というシナリオが現実味を帯びるかもしれない。

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