2021-03-27

【外務省】内閣広報官に抜擢された小野氏 夫婦で重責

外務省で、1988年入省の同期夫婦がそろって官邸から重責を任されることになり、大きな注目が集まっている。

 夫の小野啓一地球規模課題審議官が担うのは、新型コロナウイルスのワクチン外交。日本と米国、豪州、インドの4ケ国(クワッド)首脳が3月12日に開いたテレビ会議では、インド製のワクチンの生産能力を高めるための資金支援を行うことで合意した。中国が自国製ワクチンをアフリカなどに無償供与し、存在感を高めたことに対抗する狙いがある。クワッドも途上国にワクチンを届ける態勢づくりを進める考えだ。

 この枠組みづくりを日本側で主導したのが小野氏だ。3月に入ってから官邸を頻繁に訪れ、菅義偉首相と直接調整を重ねてきた。小野氏はもともと米国が専門分野だが、過去には韓国や北朝鮮を担当する北東アジア課長を5年以上務め、北朝鮮が日本人拉致被害者の再調査を行う「ストックホルム合意」を実現したこともある。

 そんな小野啓一氏の妻が、今回首相から内閣広報官に抜擢された小野日子氏だ。入省5年後に結婚し、夫婦でワシントンの日本大使館に勤務中に妊娠と出産を経験した。安倍晋三政権では内閣副広報官に起用され、すべての首相外遊に同行し「1年間で地球を6周以上回った」と豪語したこともある。

 今回の抜擢は、前任の山田真貴子氏が多額の会食接待を受けた問題などで辞任したことに伴うものだ。内閣広報官は事務次官級のポストだけに、省内では「夫を軽々と追い越していった」(幹部)などと軽口も叩かれている。ただ、安倍政権時代と様変わりし、今の外務省は菅首相と良好な関係を築いているだけに、省内では小野夫婦に「官邸との信頼関係をつなぐ橋渡し役に徹してほしい」(局長)と期待が集まっている。

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