2021-03-28

【総務省・接待問題】通信行政揺るがす接待問題 旧郵政省出身の幹部がずらり

国民の信頼が揺らいでいる…

週刊文春の報道をきっかけにした総務省幹部の接待問題が通信・放送行政を揺るがしている。菅義偉首相の長男が勤める衛星放送関連会社「東北新社」から国家公務員倫理規程に違反する接待を受けていたとして、同省は2月24日、谷脇康彦総務審議官(当時)ら7人を減給の懲戒処分とするなど、11人に対する処分を行った。

 しかし、その後もNTTによる高額接待の疑惑が明るみとなり、事態の幕引きまでは時間がかかりそうだ。

 処分を受けた11人は東北新社側と2016年~20年にかけて、延べ37回会食。飲食代の全額また一部を負担してもらっていた。タクシー券や手土産を受け取っているケースもあった。

 同省を既に退職した前総務審議官の山田真貴子氏も一回約7万4000円の高額接待を首相の長男らから受けていたことが発覚。YouTubeの動画で「飲み会を絶対に断らない女」と語っていたことも批判を浴び、山田氏は3月1日、体調不良を理由に内閣広報官を辞職した。

 放送の許認可権を持つ総務省にとって、東北新社は利害関係者に当たる。倫理規程は利害関係者からの接待を禁止しており、違反した場合は懲戒処分の対象となる。谷脇氏はその後、NTTの幹部からも高額接待を受けていたことが分かり、3月8日、官房付に更迭され、16日付で辞任した。

 現在60歳の谷脇氏は情報通信分野に精通した旧郵政省出身のエース官僚。菅政権が看板政策として打ち出した携帯電話料金値下げで調整に奔走し、次の事務次官候補と目されていた。度重なる不祥事で次官昇格の可能性が消滅したばかりか、3月末に定年を迎える。次官級の総務審議官なら62歳だが、官房付への異動に伴い、この特例が適用されなくなるためだ。

 谷脇氏とNTT幹部の会食の場となったのは、東京都内でNTT子会社が運営する会員制高級レストラン。3回総額10万円を超える接待を受けていた。接待問題で取り上げられた幹部は、谷脇氏のほかに、吉田真人総務審議官、巻口英司国際戦略局長、秋本芳徳前情報流通行政局長ら、旧郵政系の実力者ばかり。組織の解体的出直しが求められる事態となっている。

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