2021-03-24

みずほ銀行でシステム障害多発、ガバナンスに課題はなかったか

会見を行った、坂井辰史・みずほFG 社長(左)

頭取交代は一旦白紙に


「新しいシステムに対する過信、気の緩みはなかったか、検証をしていく」と話すのは、みずほフィナンシャルグループ社長の坂井辰史氏。

 みずほ銀行で顧客の取引に支障が出るシステム障害が続発し、ガバナンス(企業統治)体制や経営責任を問われる事態に発展している。2月末に起きた全国的な現金自動預払機(ATM)の停止を皮切りに2週間足らずで4度もシステム障害が発生した異常事態に、金融庁は銀行法に基づく報告徴求命令を連発。3月末までに原因究明と再発防止策の報告を求めている。

 みずほFGでは、この事態を受けて4月1日付での人事を一部凍結。特に、みずほ銀行では頭取に常務執行役員の加藤勝彦氏の昇格を発表していたが白紙に。加藤氏は副頭取に就き、現頭取の藤原弘治氏が当面続投、問題の対応に当たる異例の事態。

 また、みずほFG社長の坂井氏は4月1日付で全国銀行協会会長への就任が決まっていたが、事態への対応を優先し、就任を見合わせる。当面は現会長の三毛兼承氏が続投して対応する見通しだが、その後は未定。

 みずほでは、2002年、11年と大規模なシステム障害を起こした。今回の障害は過去2回に比べて規模自体は小さいが、社会に与えた影響は大きい。坂井氏は「なぜ、みずほだけが10年に1度システム障害を起こしてしまうのか」と話すが、それは社会の疑問でもある。

 今回の4度の障害は、現時点で因果関係は見出せていないが、外部の弁護士で構成する第三者委員会、社外取締役だけで構成する検証委員会を設置し、社外の目も使って原因究明、再発防止策を探る。

 今でこそ「ワンみずほ」と言われるが、みずほは発足から旧3行の融和が進まず、システムも「つなぎ」で対応していたことが2度の障害につながった。そこで今回新システムを構築したわけだが、その運用体制は十分だったのか。

 銀行界は経営企画や営業、国際部門がエリートで、システム部門は一段下に見られがち。今回の問題はシステムの強化を放置してきたことに加え、人事を含めたガバナンスのあり方を突き付けている。

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