2021-03-23

SMBC日興証券社長・近藤雄一郎の「資産運用」戦略 「勝負は人間力、証券営業のプロたれ!」

近藤雄一郎・SMBC日興証券社長



大きく変わった人材の育成方法


 働き方が大きく変わる中、今後は人材の育成方法も変わっていかざるを得ない。「先程申し上げたように、コロナ以前は資料を持っていくなど気軽にお客様にお会いすることができたが、今は接触頻度が下がっている。その中で我々が選んでいただける存在であるために『プロたれ』と言っている」と近藤氏。

 従来、新人の営業社員は飛び込み営業こそしないものの、新規開拓を通じて証券営業を学んできたが、21年4月以降はこれをやめる。コロナで顧客に会いづらいことも理由の1つだが、営業社員の「質の向上」を進める狙いがある。

 では、「質」を持った営業社員に育成するために何をするのか? 支店に配属するのは従来通りだが、通常の電話対応の他、口座はあるが長年稼働していない「休眠口座」となっている顧客にニーズのヒアリングをする、あるいは上司、先輩に帯同してニーズを引き出すための話法などを学ぶ。新規開拓は部店長、管理職といった中堅、ベテランが担う形に変えた。

 さらに管理職に対して近藤氏は「お客様のニーズをしっかり把握するためには知識、教養が必要になる」として「管理職はさらにプロたれ! 」とハッパをかけている。

 具体的には従来、営業の管理職は最低限、ファイナンシャル・プランナーの資格である「AFP」が必要とされていたが、21年からはさらに上の「CFP」、または「証券アナリスト第2次試験合格」を必須の条件とした。

 結果、社内のCFP受験者は19年と20年を比較すると5倍に増加した。取得しなければ管理職から降格、あるいは管理職に昇格できないため、皆必死だ。研修費、受験費用は会社が全額援助している。

 さらに知識だけでなく教養を身に付ける観点で、数年前からネット上に研修で歴史、文学、芸術などを学べる場を用意。

 「人」をどう育てるかについての試行錯誤が続く。

 近藤氏は社内に対して「まずやってみよう。動かなければ、変化をしなければ何も新しいものは生まれない」と訴える。

 個人向け営業だけでなく、全ての分野で新たなサービスに試行的にチャレンジする中から、新たな〝解〟を生み出していく。

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