2021-03-16

【財務省】赤字国債依存は長期化、厳しさ増す財政再建

昨年10─12月期実質国内総生産(GDP)は2四半期連続のプラス成長になったが、今年1─3月期は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言再発令を踏まえ、下方修正を余儀なくされるのは必至だ。

 3月7日に宣言は全面解除される見通し(その後、首都圏1都3県は21日まで延長)だが、飲食店など営業の本格再開は段階的になる上、国内外ともにコロナが収束しなければ観光振興もままならない。政府は2021年度予算案などに盛り込んだ事業者支援をテコに経済の立て直しを急ぐが、景気の長期低迷を回避できるかどうか、麻生太郎財務相の経済運営の真価が試される。

 今後の経済見通しに関し、2月24 日の記者会見で麻生氏は新型コロナが直撃した観光や旅行などを念頭に「業界によってばらつきがあり、下振れリスクも考えないといけない」と述べた。同時に「景気全体の基調は悪くない。まずは対策を実行していく」とも指摘し、経済の早期回復に改めて意欲を示した。

 一方、同日の衆院財務金融委員会で、麻生氏は財政状況に関し「少なくても引き続き25年度までは特例公債を発行しなければならないのは明らか」と述べ、安定的な財政運営に向けて赤字国債への依存が長期化することを認めた。

 今春以降に予定する高齢者のワクチン接種が順調に進めば、経済は上向き始めるとみられるが、企業活動の本格再開の時期は見通せず、日経平均株価3万円突破という空前の株高も景気回復への貢献は限定的だ。

 一方、日本の公的債務残高は先進国平均の2倍超と突出、財政再建の道のりは厳しさを増す。今夏の東京五輪は開催にこぎつけても感染対策の徹底が優先され、景気の起爆剤としては力不足となりそう。首相経験者で財務相8年超の実績を持つ麻生氏をもってしても、経済再生と財政再建の両立に道筋をつけるのは困難を極めそうだ。

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