2021-03-12

【株価はどう動く?】世界中で個人投資家の「ロビンフッダー化現象」、一極集中型の個別物色相場に

個人投資家が主導する相場に


 ※本稿は『財界』2021年3月10日発売号で掲載されたものです。

 前回、「マネーバブル大相場」はすでに始まっていると解説しましたが、その象徴であるビットコインはさらに上昇を続け、1ビットコイン6万㌦を突破し、時価総額が1兆㌦以上になりました。

 また、第2位の時価総額規模のイーサリアムも、2018年1月に付けた高値を突破し、新高値を付けて上昇中です。

 これら暗号資産の急騰、大幅高は何を意味しているのか。今回、コロナ禍で職を失ったり、賃金が低下して、生活が困窮している米国の若者、あるいは日本、韓国、中国などアジアの若者が、各国政府から救済で配られたお金を、ビットコインや株式投資に投じているのです。

 先日、スマートフォン専用証券会社・ロビンフッド・マーケッツの利用者を中心とする「ロビンフッダーの反乱」が起きましたが、世界中の投資家がロビンフッダー化してきています。

 多くの若者世代が、ビットコインやイーサリアムの急激な上昇を見て、自分達の生き残る道はこの方向しかないということで資金を投じてきているのだと見ています。

 先日、朝日新聞で、韓国の若者が仕事そっちのけで株式投資にのめり込んでいる様子が紹介されていましたが生活苦、就職難の中、株で勝負するしかないと思いつめている若い世代が多いということです。韓国では彼らを「東学の乱」になぞらえて「東学アリ」と呼びます。

 彼らは米国で言えば「ロビンフッダー」です。今後、日本でも、他の国々でも同様の現象が起き、世界的な傾向になってくるでしょう。そして、ビットコインを始めとする暗号資産の上昇には拍車がかかります。さらには、ハイテク、中小型株にロビンフッダーや東学アリの資金が集まることになります。

 ニューヨークダウ、ナスダック指数、日経平均株価、マザーズ指数は今後高値を切り上げてくると思いますが、個人投資家の乱でより一層個別物色相場の色彩が強まるものと予想します。

 日本の株式市場で言えば、今年の投資テーマは第1にデジタル、第2にグリーン、そして第3に「カジノ的な銘柄」、マネーゲーム株となります。足元で代表的なのはバイオ関連です。この3テーマが今後の日本の株式市場を牽引します。

 機関投資家などは、完全にこの個人投資家主導の相場に出遅れていると思います。なぜなら、機関投資家はどちらかと言えば安全運転で、リスクを取ることができませんが、個人はリスクを取ってどんどん投資をしてくる。個人は前述のように背水の陣だからです。

 もう一つ、世界的金融緩和が20年のコロナショック以来続いていることから、強烈な金余りになっており、運用難の状況となっています。米国の投資ファンドなどは「GAFA」、「MAGA」を組み入れていなければ成績が出ない状況です。

 この傾向は今後、さらに強まる見通しで、上がる銘柄は上がるが、上がらない銘柄は上がらない、いわばマネーの一極集中の流れが強まるのではないかと見ています。世界的な金融緩和と、世界的なロビンフッダー現象によって、ビットコインなど暗号資産の上昇、成長株の上昇が続くことになるでしょう。

 日経平均株価も3万円台を付けてから、それほど押し目がありません。ニューヨークダウも3万㌦を突破してから強い動きとなっています。

 マザーズ指数も20年10月14日に1368ポイントで天井を付けたのですが、2月16日には1340ポイントまで迫っていますから、いずれ10月の高値を突破してくるでしょう。

 マザーズ市場の銘柄は足元では休んでいる状況ですが、4月以降は個人マネーの集中でマザーズ、新たなIPO(新規株式公開)銘柄が上がってくるものと予想します。海外の中小型株に投資するファンドも日本にやってくると見ています。

 当面、日米の株高は続きますが、一極集中型の個別物色相場の色彩が強まってくることが予想されます。この傾向は簡単には変わらず、むしろ強まってくるでしょう。

 そこに米国のバイデン新政権は1兆9000億㌦を困窮している世帯に配ろうとしています。これによってロビンフッダーの反乱第2幕、第3幕が起きてくるのではないでしょうか。

 それに刺激されて日本、韓国、さらにはコロナ禍で苦しむ世界中の個人投資家もロビンフッダー化の傾向が強まります。

 日本の株式市場は日本銀行のETF(上場投資信託)の購入など下支えが効いているという見方がありますが、私は今後、日銀の日本の株式市場に与える影響は小さくなっていくと見ています。なぜなら、これから価格が上昇する銘柄は、日銀が買えないところばかりだからです。

 日経平均株価よりもマザーズ指数、大型株よりもIPO銘柄に個人投資家、海外投資家のマネーは向かいます。そしてこのままでは機関
投資家は株式では運用成績が上がらず、金利の上昇に伴って米国債、ドル建て債券に向かうことになるでしょう。

 金融緩和の縮小、金利上昇による引き締めがあれば、株価に調整が入ると思いますが、金利に関していえば、これまでの低金利が異常です。それは日銀がインフレターゲット(物価目標)として掲げたのが「2%」だということを思い起こす必要があります。

 米国の長期金利が2%に近づくまでは問題ありませんから、それまでは途中、波乱局面はあっても、金利が上がると株価も上がるという状況が予想されます。

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