2021-03-10

ENEOSホールディングス・大田 勝幸社長が激白! 「当社は石油だけをやっている会社ではない」

大田 勝幸・ENEOSホールディングス社長



カーシェアやカーリースなどの新事業も



 ─ ところで、昨年6月に大田さんが社長に就任し、新たな体制が始まったわけですが、この間の手応えについては、どのように感じていますか。

 大田 もともと環境問題やデジタル化に伴って、会社も大きく変わらなければならないタイミングでの社長就任でしたから、非常に責任が重いと感じています。先ほど冒頭で申しましたように、2040年までの長期ビジョンをつくり、それを実現するための第2次中期経営計画(2020~22年度)がスタートした年で、さらにそこにコロナ禍による衝撃でしたから、非常に身が引き締まる思いです。

 わたしがやるべきことは大きく二つあって、一つは新たな取組みの推進です。再生可能エネルギーやCO₂フリーの水素などクリーンなエネルギーの供給、それから環境に優しい素材やリサイクルへの取り組みなどです。日本は資源が無いので、石油や石炭、天然ガスなどにエネルギーを頼っているわけですね。これから再エネを増やしていくのは当然ですが、気象条件に左右される再エネだけで日本の全エネルギーを安定的に賄うのは無理です。

 そういうことも踏まえながら、次世代エネルギーの開発を進めているのと、あとはVPP(仮想発電所)による分散型の新しいエネルギー・プラットフォームの構築に向けて、静岡や東京・東村山などで自治体との連携も始めています。

 ─ 地域での新しい形のエネルギー・プラットフォームをつくるということですね。

 大田 ええ。また、全国にあるサービスステーションを地域の生活プラットフォームとして活用しようと考えています。やはり全国1万3千カ所のサービスステーションがありますので、今までのように単にガソリンを入れるだけの場所にはしたくない。各地の有力な運営店様を含め、これだけの全国ネットワークがあるわけですから、様々なエネルギーの供給はもちろん、モビリティやライフサポートのためのプラットフォームとしてこれをもっと有効活用したいと考えています。すでにコインランドリーの展開を始めたり、デリバリー型のカーシェアやカーリースなどの多種多様な事業の取り組みも進めています。

 もう一つは、これまで当社を支えてきた基盤事業の強化。具体的には、石油精製や銅の精錬などの基盤事業の競争力をさらに高めていくことです。すでに昨年10月に大阪製油所の精製機能を停止し、今年10月を目途に愛知・知多製造所の製造を停止することも決めました。

 また、さらにはこの1月に横浜・根岸製油所の機能縮小化を決定しました。一方で、操業を続ける製造現場のデジタル技術活用も積極的に進めています。

 石油の需要が減るのに合わせてある程度製油所の再構築が必要だとは思っていましたが、コロナ禍でこうした状況になりましたので、もっと早く改革を進めようと考えたのです。

 ─ 両方とも、やるべきことは着実にやってきたと。

 大田 そうです。あとはこれらの改革が早く利益につながるとか、社会貢献につながるような形になるといいのですが、そこはまだ時間がかかるかもしれません。

 やはり、われわれがこれまで長い時間をかけて2040年のあるべき姿を考え、議論してつくってきた長期ビジョンですから、コロナがあろうとなかろうと、きっちりやるべきことをスピードを上げて実行していこうと思います。

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